2018年10月23日:日本経済新聞 朝刊
経済産業省は工場など企業の電力購入先について、大手電力会社から新電力への切り替えをしやすくする。
最大40日ほどかかっていた手続き期間を最短5日に短縮し、大手の過剰な囲い込み営業などを防ぐ。
大手が切り替えを防ぐために大幅な値下げなどの提案をした場合、立ち入り検査などの対象にする。
新電力の市場参入を促進するため競争環境を整える。
23日の有識者会議で、経産省の電力・ガス取引監視等委員会が事務局案として提示する。
年内にも電気事業法の新しい指針として取りまとめ、運用を始める。
企業が事業用の電力購入先を切り替える際、その情報が国の機関のシステムを通じて大手電力に伝わる。
これを大手の営業部隊が察知し、「切り替えが済むまでに顧客を引き留めようと営業攻勢をかけている」との指摘がある。
この対応策として、経産省は手続きを短縮化する。
いまは電力大手から新電力に契約を変更する際、送配電網を大手から借りる託送契約と、電力使用を遠隔管理できるスマートメーターの工事を完了する手続きが必要となり、切り替えまで合計25〜40日かかるという。
新ルールは託送契約手続きが終われば契約変更できるようにする。
スマートメーター設置は託送手続きの変更後でいいようにする。
これにより切り替えが短縮され、大手が引き留め営業をかけにくくなるとみている。
値引き交渉も防ぐ。
大手が契約を切り替える情報を利用し、企業側に安い料金プランを提示したり、取引関係や資本関係を理由に引き留めようとしたりすれば問題行為に位置づける。
政府が立ち入り調査や勧告を行い、従わない場合、認定を取り消せるようにする。
2018年10月23日:日本経済新聞掲載記事より抜粋
北海道のブラックアウトで、新電力として小売や発電を手掛ける当社も含め、電力会社の責任が極めて大きいことを改めて実感した。電源の集中や原子力発電所の停止が原因とされるが、あらゆる面で完璧な電源は存在しない。犯人捜しではなく、この事例を糧に多様な電源を活用できるシステムを構築することが重要だ。
北海道電力に設備増強を求める声があるが、投資分は電気料金という形で消費者にしわ寄せがくる可能性がある。北海道は再生可能エネルギーの発電に適している。様々な発電事業者が今まで以上に参入すれば、電源の増強・多様化につながる。競争を促し、新規参入企業の力を活用することを考えてほしい。
再エネを普及させようという政府の政策は正しい。7月に決めたエネルギー基本計画でも再エネの主力電源化を掲げた。そのためには効率的で安定した供給が求められる。北電だけでなく、発電事業者や小売事業者も責任感を持つべきだ。
当社のバイオマス発電所も約1カ月半分の燃料を蓄えている施設がある。災害に備えた燃料確保が不可欠だ。北海道の地震では発電量の不安定な太陽光発電は送電再開が遅れたが、蓄電池を併設して送電量を安定させられる施設は早く送電再開を要請された。
小売事業者は消費者に、災害時に起こりうる問題や対処法を説明し、非常時にメールなどで正しい情報を発信する必要がある。これまでは価格競争一辺倒だったが、災害時対応は小売事業者の新たな競争軸だ。
北海道と本州を結ぶ送電線「北本連系線」の増強は必要だ。電力会社の競争が促され、再エネの調整にもつながる。足元で電力価格が高騰しているが、連系線増強で競争が進めば、消費者のメリットは大きい。
2020年に大手電力の発電と送配電部門を切り離す発送電分離が始まる。送配電会社を2~3社に再編することも選択肢とし、最適なあり方を探るべきだ。既存の電源と再エネをどう使うか。再エネは地域再生にもなる。自治体と開発で協力するなど、地域密着型の事業を進めるべきだ。
2018年10月17日 電気新聞
◆ルール変更の影響も
F―Power(Fパワー、東京都港区、埼玉浩史会長兼社長)が公表した第10期決算公告(2017年7月1日~18年6月30日)によると、純損益が120億円の赤字になった。前期は7億円の黒字だった。Fパワーは今年4月の販売電力量でエネットを抜き、初めて新電力首位に立つなど契約件数を順調に伸ばしていただけに、今後の経営動向が注目を集めている。
15日付で官報に掲載された同社の決算によると、昨年7月から1年間の売上高は前期比27.4%増の1599億円と増収だったが、経常損益は前期22億円の黒字から、今期は118億円の赤字に転落した。営業損益は119億円の赤字、純損益は120億円の赤字だった。
同社は電源構成を含めた経営戦略を公表していないが、大手電力会社と相対契約を結んで卸供給を受けているほか、子会社として新中袖発電所(千葉県袖ケ浦市、LNG、約10万キロワット)などを運営している。
ただ、近年の契約電力の増加に電源開発が追い付いておらず、規模の大きな新電力としては比較的、卸電力取引所への依存度が高いプレーヤーとして知られていた。
昨夏および昨冬は、需給逼迫などを原因として取引所の単価が高騰する局面があり、収支に悪影響を及ぼした可能性がある。
足元の契約数は順調に伸びていたとみられる。経済産業省・資源エネルギー庁が発表した今年6月の電力需要実績によると、新電力として3ヶ月連続で販売電力量の首位を維持している。特別高圧に続き、6月は高圧でも初めて首位に立った。
一方で同社の営業手法について、業界他社からは「価格が安すぎる」など持続性を疑問視する声が上がっていた。
ある新電力関係者は取引所の単価高騰のあおりを受け、低価格で獲得した契約で「逆ざや」が発生しているのではという見立てを示す。
業界内ではエネ庁が昨年10月に行ったインバランス料金算定方法の見直しが、同社の業績に与えた影響を指摘する声もある。
主要因がどこにあるにせよ、新電力トップの経営状況の「変調」は、電力小売り全面自由化の今後を占う要素として波紋を広げそうだ。
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卸電力取引所(JEPX)からの調達頼み又は調達比率が高いなど、
JEPXへの過度な依存は、事業の安定性を大きく毀損することになります。
今年の夏季の価格上昇もありこのような事態となっております。
最安値営業、シェア拡大しても、中身がこんな大赤字ではなんにも意味がない。
当社が販売しているイーレックスはJEPX調達だけではなく自社電源や相対契約等、多種多様な調達方法を保有しております。
今後も数件の自社発電所の建設・計画も進んでおり、着実な営業をしております。
2018年8月24日 愛媛新聞 社説
原発の重大事故のリスクから目をそらす政府の姿勢に憤りを覚える。
内閣府原子力委員会の専門部会が、原発事故に伴う賠償の仕組みを定めた原子力損害賠償法について、事前に備える賠償金(賠償措置額)を現行の最大1200億円で据え置く方針を示した。秋の臨時国会に原賠法改正案を提出する見通しだ。
東京電力福島第1原発事故では、既に8兆円を超す巨額の賠償金が生じている。現行の賠償措置額で対応できないことは明らかにもかかわらず、見直さなかったのは看過できない。政府が賠償責任にさえも真摯(しんし)に向き合わず、原発周辺住民らの不安を置き去りにしたまま原発の再稼働を進めることは断じて容認できない。
現行の原賠法では、過失の有無にかかわらず、電力会社が上限なく全ての賠償責任を負うと規定する。賠償措置額の1200億円までは民間保険や政府補償で支払い、それ以上は国が援助する仕組みだ。
福島原発事故では、賠償措置額を大きく超え、国が一時的に資金を肩代わりして東電に長期返済させる仕組みをつくって急場をしのいだ。今回、現行の原賠法の骨格がほぼ見直されなかったため、新たに事故が起きた場合、福島と同様の対応をとることになる。だが、福島の賠償は東電1社で賄うのではなく、四国電力も含めた電力会社も負担している。電力自由化などで競争が激化する中、今後も互いに協力する仕組みが維持できる保証はない。
賠償措置額が据え置かれたのは、事故のリスクを負いたくない電力会社と政府の妥協の産物だ。電力会社は、経営環境が変化し、原発の安全対策費などの投資が増える中、さらに負担を増やしたくない思惑があった。政府も、補償の増額は国民負担につながるため、世論の反発を恐れて消極的となった。両者とも、事故の反省が全くみられないばかりか、自己都合があからさまであり、無責任に過ぎる。
電力会社が賠償責任を上限なく負う「無限責任」は維持された。専門部会の議論の中で電力業界は、一定額以上は国が責任を持つ「有限責任」に切り替えるよう強く主張していた。事業の予見可能性に支障が出るとの理由だったが、電力業界が有限責任を求めること自体、福島原発事故と同規模の賠償は不可能だと認めているに等しかった。事故の備えも十分にできないような原発事業からは撤退するのが筋だ。
四電は、司法判断で停止中の伊方原発3号機の運転再開を急ぎたい考え。しかし、四電は東電に比べ経営規模が格段に小さく、福島原発のような事故が起きれば、最悪の場合、経営破綻に追い込まれて住民らに十分な賠償ができない懸念がある。県や周辺市町は、原発の安全性のみならず、賠償面からも原発の運転再開の是非を考え直す必要がある。
2018年8月14日 日本経済新聞 朝刊
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO3412290014082018MM8000/
新電力のイーレックスは世界最大級のバイオマス発電所の事業化に取り組む。大規模化で発電コストを引き下げ、政府の支援策である再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度(FIT)を使わずに採算を確保する計画。事業性を見極めて2024~25年をめどに稼働を目指す。再生エネを安定的に調達したいという企業の需要は増加が見込まれ、再生エネを巡る競争が促進されそうだ。
同社は大手電力系などと協力して6カ所でバイオマス発電所を運営・計画している。新たに約70万世帯分の電力に相当する出力約30万キロワットのバイオマス発電施設の建設を検討する。東日本を中心に立地を選ぶ。投資額は900億円程度が見込まれ、大手電力などとの共同事業も視野に入れる。
これまで国内最大の新設バイオマス発電所は出力10万キロワット程度で、新設バイオマス発電所としては世界最大級となる。木質チップやヤシ殻を燃料とするバイオマス発電は太陽光などより安定した発電量を得やすい。
イーレックスは大規模化による発電効率の向上や燃料の大量調達で、発電コストを石炭火力発電(1キロワット時あたり12円前後)並みに抑えることができるとみている。17年度の大型の一般木質バイオマス発電のFITの買い取り価格は同21円で、現状ではFITを使う施設がほとんどだ。
ただFITを巡っては国民の負担が年間で2兆円を超えるほか、設備などの価格競争が抑えられる要因との指摘もある。産業界では使用するエネルギーを全て再生エネで賄うことを目指す国際的な企業連合「RE100」など、環境負荷が小さい電力の調達を目指す動きが広がっているが、国内の再生エネは太陽光に偏り発電量が不安定な点など、企業の使い勝手が良くない。
2018年8月17日 共同通信
https://this.kiji.is/403124171226940513?c=113147194022725109
経済産業省が大手電力による不当な顧客囲い込みの規制に乗り出すことが17日、分かった。新電力に契約を切り替えようとする情報を利用し、安い料金プランを提示して引き留める「取り戻し営業」が対象。情報の「目的外利用」として電気事業法上の問題行為に位置付ける。大手と新電力の健全な競争促進に向け、年内にも指針案の取りまとめを目指す。
電力小売りの自由化により、大手と新電力の競争は激化している。企業は家庭と比べて大量の電力を使うため、電力会社にとって収益への寄与が大きい。世耕弘成経産相は「できるだけ早く公正な競争条件を整えたい」と話している。
平素は格別のお引き立てをいただき厚くお礼申し上げます。
弊社では、誠に勝手ながら下記日程を夏季休業とさせていただきます。
夏季休業期間
2018年8月11日(土)~2018年8月19日(日)
休業期間中にいただいたお問合せについては、営業開始日以降に順次回答させていただきます。
皆様には大変ご不便をおかけいたしますが、何卒ご理解の程お願い申し上げます。
この度、弊社は平成30年8月1日より下記住所へ移転することになりました。
心機一転気持ちも新たに業務に邁進していく所存でございます。
何卒倍旧のお引き立てを賜りますようお願い申し上げます。
■新住所
〒471-0034
愛知県豊田市小坂本町1丁目5番5号 YAMATO BLDG2階
(名鉄「豊田市」駅から徒歩5分、愛知環状線「新豊田」駅から西口より徒歩2分)
■電話番号 0565-89-2328(変更なし)
FAX番号 050-3488-7070
2017年1月19日 スマートジャパン
http://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1701/19/news030.html
2016年4月の電力小売自由化に伴い、地方・地域にもさまざまな動きが起こっています。事業展開の領域、市場展開エリアを特定の地域に限定してエネルギー事業を展開していこうという会社が増えているのです。
こうした動きには、「地方創生」の機運の高まりとも相まって、さまざまな方面から期待が寄せられていますが、地域特化型エネルギー事業会社には大きく分けて次の3種類があります。
1.本業の顧客囲い込み型
2.自治体主導の地方創生型
3.新規ベンチャー型
1の「本業の顧客囲い込み型」を担うのは、これまで特定の地域で事業展開してきたLPガス会社やケーブルテレビ会社、地域で展開するスーパーマーケットや生協などです。もともと各地域に自分たちのお客さんを持っていて地元顧客との接点があり、2017年4月から始まるガス自由化(都市ガス小売全面自由化)も視野に入れて、既存顧客をターゲットにしているのが特徴です。
2の「自治体主導の地方創生型」は市区町村などの自治体が主導、または民間企業と連携して設立された地域新電力会社です。地域で発電した電気をその地域内で利用する地産地消型を中心としたエネルギー事業で、地域活性化や地方創生を目指す会社がここに含まれます。
3はその他の新規参入ベンチャー系の会社ですが、ここには純粋に地元を盛り上げようという思いを持つ人たちで作られた会社もあれば、市場の可能性に魅力を感じて設立した電力会社など、さまざまな思惑の会社が存在します。
いずれのタイプの会社も企業規模はそれほど大きくなく、少人数で運営している会社が多いのが特徴です。
関東圏などの電力をたくさん使う地域と異なり、地域特化型の場合は、もともとの電力需要が小さい市場をターゲットとしていることも多いです。そのため、社員5~6人程度の非常に小規模の会社も多く、またほとんどの会社が2016年4月以前には電力販売の実績を持たない会社です。では、具体的にどんな会社・団体があるのか見てみましょう。
もともと地域に根ざしている会社の電力小売業界への参入目的は、会社の種類や業態によって異なりますが、例えばガス会社であれば「既存のお客さんを、外から入ってくるライバル会社に奪われるのを防ぐ」というのが大きな目的の一つです。ガスだけを売っているのでは、電気もガスも両方売りますという会社に負けてしまうからです。
こうした会社は、電力販売で新規のお客さんを獲得していこうというよりは、電力販売を活用して既存の顧客を囲い込んでいこうという戦略で事業展開を行っています。電力事業への参入目的は前述したトレンドワード1「新規事業開発」における企業と基本的に同じですが、地域性の高い既存サービスの強みを最大限に生かし、それを電力販売と組み合わせることで顧客基盤を強固にする事業類型といえます。
本業の顧客囲い込み型の例として、ここでは北海道の「トドック電力」をご紹介します。トドック電力は、全国各地で地域に密着した各種事業を行っている「生協(生活協同組合/コープ)」が主体となって運営する新電力会社の一つです。
コープさっぽろ(株式会社エネコープ)が運営母体となっているトドック電力は、北海道エリア全域をターゲットにした電力提供サービスを行っていますが、その大きな特徴は、再生可能エネルギーで発電されたFIT(注)電気を60%使う「FIT電気メニュー」と、FIT電気よりもさらに割安となる「ベーシック電気メニュー」という2種類のメニューを提供していることです。再生可能エネルギーの普及に協力したいと考える人は「FIT電気メニュー」を、一方、少しでも電気代を安くしたい人は「ベーシック電気メニュー」を選べるというわけです。
また次のような、コープさっぽろグループ提供の各種サービスとのセット利用によるお得な特典も用意されています。
・灯油とのセット割引で電気料金がさらに安くなる
・コープさっぽろの店舗や宅配で使えるポイントがもらえる
・トドックスマホ(コープさっぽろの格安スマホ)とのセット割引で電気料金がさらに安くなる
・電気、灯油、LPガス、宅配システムなどの請求と決済がコープさっぽろでまとめて処理できる
トドック電力以外にも、大阪いずみ市民生活共同組合による電力ブランド「コープでんき」など、地元でコープを利用する人に特化した電気料金プランやサービスを提供する会社・団体が出てきています。
注 FIT:この電気を調達する費用の一部は、電気をご利用の全ての皆さまから集めた賦課金により賄われており、この電気のCO2排出量については、火力発電なども含めた全国平均の電気のCO2排出量を持った電気として扱われます。
これは地方の自治体が主体となって、または民間企業と自治体が連携して地域新電力会社などを作りエネルギー事業を行っていこう、というものです。こうした会社には、自治体や地域企業が出資して一つの母体を作って事業展開をしているところが多いようです。そこには、再生エネルギーの生産・販売を中心に、地域でエネルギー循環をさせる「地産地消」を目指すなど、みんなでエネルギーシェアをしていこうという発想もあります。また地域内での「雇用の創出」や「地域内でのお金の循環」といった効果も期待されます。
このような自治体主導の電力会社は全国各地にありますが、例えば、鳥取市と鳥取ガスが設立した「とっとり市民電力」、次に紹介する福岡県みやま市の「みやまスマートエネルギー」などがあります。
自治体主導で地域特化型の電力事業を行っていこう、という取り組みは全国各地で行われていますが、その中でも福岡県みやま市と鹿児島県肝付町の連携による先進的な取り組みが注目を集めています。
その取り組みとは、「両自治体が運営している新電力同士が、電力(再生可能エネルギー)をお互い融通し合い活用していこう」というものです。FITに頼らない再生可能エネルギーの普及を推進し、エネルギーの地産地消による地方創生の実現を目指す自治体主導の新しい取り組みとして期待が高まっています。
みやま市は2015年3月、日本初の自治体による家庭向け電力売買事業会社「みやまスマートエネルギー株式会社」を設立。一方の肝付町は、太陽光・風力・小水力などの発電施設や木質バイオマスによる熱供給施設があり、再生可能エネルギー活用に関わるさまざまな取り組みを推進しています。
将来的には、両者・両地域においてFITに頼らない再エネの普及を進めるため、また地域の再エネを地域で活用するために、自営線網(系統に頼らない自治体所有の電線網)を構築し、「家庭間で再エネを融通することができる地域」「災害時にも電力供給が可能な地域」を作っていく計画とのことです。
ここに属するのは、もともと地元愛の強い人たちが、「地域コミュニティーの中で何か新しいビジネスを始めたい」と考えて数人で立ち上げた会社などのほかに、「電力自由化に乗じて何か新しいベンチャーを興してみよう」と考えて参入してきた会社も多くあります。
後者の多くは、もともと地域にあまり接点のない人々が、全国市場で戦うよりもドミナント戦略(特定の地域内に集中して事業展開すること)に的を絞ろう、という方針で新規事業を始めた、というのが特徴です。こうした会社のなかには、これまで太陽光パネルを販売していた会社や、電力事業とは直接関係のない不動産系の会社なども多く存在します。
これら地域特化型電力会社のビジネスモデルが持つ特徴として、「市場規模がターゲット地域に限定されやすい」ことが挙げられます。そのため、ターゲット地域に受け入れられようと描いた戦略が崩れてしまうと、途端に電力ビジネスの継続が難しくなることも考えられます。
全国など大きな市場をターゲットとしたビジネスモデルであれば、一部の地域では需要を取り込めない場合でも、その他の地域でカバーすることもできますが、地域特化型ではそれが難しいケースが多いでしょう。ターゲット地域の電力需要にもよりますが、狙っている市場自体が小さいこともありますので、電力小売という事業だけではビジネス拡大に限界がある場合もあります。
一方で、特定の地域という明確な販売先が定まっていることは、マーケティング上では利点ともなり得ます。ひとたび地域に住む需要家に受け入れられると、地域のコミュニティー力を生かした経営基盤を築くことができます。そうした活動の中で、電力で地域を活性化させるような多様なビジネスへの展望がひらけます。
ただ、企業によってどういった地域顧客との接点を持っているかはさまざまですので、会社選びにおいては慎重な見極めが必要でしょう。
具体的なチェックポイントとしては以下の通りです。
・会社の規模。これからの事業継続の可能性は?
・経営者が地域貢献に対する明確な理念、強い思いを持っているか
・顧客接点を持つ本業があるか
・資本がその会社単独でなく、自治体からも入っているのか
・実際に電力の供給実績があるのか
また、将来的な安定を求める人には「本業の顧客囲い込み型」が、地域貢献をしたい人には「自治体主導の地方創生型」が、新しいことに自由度を持って挑戦してみたいという人には「新規ベンチャー型」がお勧めと言えるでしょう。
会社選びのポイントとしては、その会社の実像をきちんと調べ把握し、本当に自分の将来を預けられる会社かどうかを見極めることが重要になってきます。
(江田健二)
2017年1月18日 ZUU online
東京電力福島第一原子力発電所の廃炉や賠償などにかかる費用が、20兆円を上回って従来の政府想定の2倍に膨らみ、一部を送電網の利用料金(託送料金)に転嫁する方針が打ち出された。託送料金は原発を持たない新電力にも適用され、事実上の国民負担になる。
経済産業省は交換条件として新電力が原発で作った電力を利用しやすくするとしているが、新電力は販売可能な電力が増えたとしても、原発の電力を使用したくない消費者は選択肢が狭まる。新電力だけでなく、消費者団体や環境保護団体から反発の声が上がっている。
経産省によると、2013年末の政府想定では、福島原発の廃炉、賠償などにかかる費用は▽廃炉2兆円▽賠償5兆4000億円▽除染2兆5000億円▽汚染土を保管する中間貯蔵施設1兆1000億円-の合計11兆円としていた。
ところが、2016年末に経産省が示した新試算では▽廃炉8兆円▽賠償7兆9000億円▽除染4兆円▽中間貯蔵施設1兆6000億円--の計21兆5000億円に達している。2011年の最初の想定が6兆円。それが2度に渡って増え、2011年の想定の3.6倍、2013年の想定と比べてもほぼ2倍に膨れたわけだ。
しかも、今回の想定には炉内で溶け落ちた核燃料(燃料デブリ)を取り出したあとに必要となる廃棄物の処分費が含まれていない。これを加えれば、全体の費用がさらに押し上げられることになる。
経産省は賠償先や除染場所が増えたためとしているが、見通しの甘さを批判されても仕方がないだろう。脱原発派団体からは「問題を小さく見せるため、最初は少額で見積もり、ほとぼりが冷めたころにより大きな額を後出ししてきた」との見方も出ている。
これら増額分は東電の経営改革や政府が持つ東電株式の売却益などが充てられる方向だが、それらに費用だけで賄えるかどうかは定かでない。さらに費用が膨れ上がれば、東電の力でとても対応できそうもない。
不足する費用を調達するために打ち出されたのが、託送料金への上乗せだ。2016年末の経産省有識者会議では、21兆5000億円の費用のうち、2兆4000億円を託送料金へ上乗せする方針を打ち出した。実施期間は2020年から40年間で、経産省の試算だと標準家庭の負担額は毎月18円になる。
経産省電力市場整備室は有識者会議で2兆4000億円について「原発事故に備え、過去に電気料金に上乗せしておくべきだった費用」と説明したが、「原発事故当時、存在しなかった新電力に負担を求めるのは、電力自由化の趣旨に反する」「本来、東電が負担すべきもの」と批判する声が新電力や市民団体から上がっている。
これに対し、世耕弘成経産相は年頭の記者会見で「過去の料金算定の中でそういうコストが算定されていなかったのは事実。これを収集し、福島の復興や電力の安定供給につなげるのが経産省の責任だ」と反論した。
有識者会議は福島第一以外の原発についても、稼働から原則40年で廃炉にする計画より早く廃炉が決まった場合、費用の一部を上乗せすることにした。その一方で、原発などで作った電力を集めて「ベースロード(基幹)電源市場」を創設、ここから新電力が電力調達できるようにする。
廃炉に必要な費用はあらかじめ見積もった額を40年かけて積み立てる。関西電力美浜原発1、2号機など6基が早期廃炉を決定済みで、経産省は6基合わせて約1800億円が必要とみている。今後、国民負担がどこまで上がるか分からない状況だ。
今回の託送料金転嫁は国会で法改正の必要がなく、経産省令の改正で済む。このため、各方面からさまざまな反対の声が出ている。超党派の国会議員グループ「原発ゼロの会」は「国民的な議論や国会の関与もないまま、電力システム改革の原則をゆがめるのは言語道断」とする声明を発表した。
消費者団体の日本消費者連盟は賠償費用の一部を託送料金に上乗せすることを「東電が賠償責任を逃れ、消費者に負担を迫るのは問題」とする申し入れ書を世耕経産相に提出、託送料金転嫁に反対する署名を募っている。
国際環境NGO(非政府組織)のFoE JAPANは「東電の責任をあいまいにしたまま、国民負担の増加は許されない」とする声明を発表。「電力自由化や民主主義の原則に反した行為で、原発事業者を不当に保護している」と批判している。
新電力側にも強い反対がある。市民電力連絡会会長で、イージーパワー(東京)の竹村英明代表は「電力システム改革ではなく、東電の救済策になっている」としたうえで、東電の法的整理を前提として国会で国民負担のあり方を議論するよう求めている。
竹村代表は「事故対策費用が足りなくなっている背景には、損害を非現実的なほど低く見積もり、原発の発電コストが安いと見せかけてきたことがある。費用の一部を新たに転嫁するのは消費者への裏切りではないか」としている。
電力システム改革にしろ、福島の復興にしろ、東電だけで対応できないとしたら、国民の理解を得ながら負担の形を決めていく必要がある。あらためて国会で十分な議論を行うことが政府に求められそうだ。
(高田泰 政治ジャーナリスト)
2017年1月16日 電気新聞
経済産業省・資源エネルギー庁がまとめた電力需給速報によると、2016年度上期の総需要電力量(速報)は、前年同期比0.9%増の4751億6104万6千キロワット時となった。
4月の小売り全面自由化により、新電力(旧一般電気事業者以外の小売電気事業者と特定送配電事業者)の販売電力量は約1.6倍に拡大。
電気事業者の販売電力量に占める割合は、前年の4.6%から7.1%に増加した。
2017年1月15日 日経テクノロジーオンライン
http://techon.nikkeibp.co.jp/atcl/news/16/011505809/?rt=nocnt
三井住友銀行は1月10日、出力約75MWの木質バイオマス発電事業に対し、プロジェクトファイナンスを組成したと発表した。
福岡県豊前市に建設し、バイオマス燃料による発電所として、国内最大規模という。
発電事業者は、特定目的会社(SPC)の「豊前ニューエナジー合同会社」となる。SPCには、新電力のイーレックス、九州電力の完全子会社である九電みらいエナジー(旧・キューデン・エコソル:福岡市中央区)、九電工が出資した。出資比率は、イーレックスが65%、九電みらいエナジーが27%、九電工が8%となっている。
イーレックスと九電みらいが、発電所の運営を担う。主に、イーレックスが燃料の調達、九電みらいが技術管理を担当する。九電工は、発電所の電気設備工事を担当する。
2020年1月に営業運転を開始する予定で、発電電力は九州電力に売電する。
プロジェクトファイナンスによる協調融資(シンジケートローン)額は、総額で270.5億円となる。
三井住友銀行が、主幹事行を務める。このほか、日本生命保険、西日本シティ銀行、新生銀行、三菱UFJ信託銀行、明治安田生命保険、福岡銀行、北九州銀行、大分銀行、鹿児島銀行、広島銀行、七十七銀行が、融資に参加する。
(加藤 伸一=日経BPクリーンテック研究所)
2017年1月13日 日本経済新聞
経済産業省の認可法人である電力広域的運営推進機関は13日、家庭向けの電気の小売りが自由化した昨年4月から12月までに257万4500件の契約が電力大手から新電力などに移ったと発表した。
4.1%の家庭が乗り換えた計算で、着実に広がっている。
地域別では首都圏が最多の144万3800件だった。ガスや石油元売り、通信など異業種からの新規参入が相次ぎ、域内の家庭の6.3%が切り替えた。
関西は51万7900件、中部は20万2800件だった。1万2300件の北陸や1万6600件の中国は盛り上がりを欠いたままだ。
2015年12月21日 Kabutan
■株主還元
イーレックス<9517>は株主還元について、配当を基本としている。配当水準については、中期経営計画の中において、配当性向20%という配当目標を掲げている。
2015年3月期は普通配10円及び記念配10円の合計20円の配当を行った。これはその前年に行った9円配(株式分割調整後の値)から2倍以上の増配であった。2016年3月期については、前期比横ばいの20円配を予定している。2016年3月期の予想1株当たり利益68.66円に基づく配当性向は29.1%となり、前期の22.4%から一段の上昇となる。前述のように、同社は配当性向の目標値を20%としており、その線はクリアした形となっている。将来的にも、収益の拡大に応じて配当も成長するという構図は継続すると期待される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)
2015年12月21日 Kabutan
■業績動向
(1) 2016年3月期第2四半期決算
イーレックス<9517>の2016年3月期第2四半期は、売上高11,177百万円(前年同期比44.0%増)、営業利益474百万円(同37.0%減)、経常利益430百万円(同41.3%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益303百万円(同40.9%減)と増収減益での着地となった。同社は第2四半期予想を公表していないが、社内計画に対して今第2四半期決算は利益が上振れたとしている。
売上高においては、原油価格低迷の影響で卸電力価格が下落したことをうけ、同社は卸電力販売量を減少させた。これを小売り電力量が計画を上回って好調に推移したことで吸収し、ほぼ計画線での推移となったとみられる。
利益では、土佐発電所の定修で仕入電力量増加や卸電力価格の低下などで売上総利益率は低下したが、増収によって売上総利益は47百万円(前年同期比4.0%)増加した。しかし販管費が325百万円(同76.3%)増加したため、営業利益は278百万円(同37.0%)減少した。販管費増の要因は業務拡大に伴う人員増、増床などである。
(2) 2016年3月期通期見通し
2016年3月期通期については、売上高24,086百万円(前期比41.1%増)、営業利益1,510百万円(同2.4%増)、経常利益1,405百万円(同24.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益936百万円(同1.5%増)を予想している。これらの予想値は期初から変更はない。
下期も第2四半期までと同様の動きとなると想定される。すなわち、卸と小売りとでは小売りのシフトが一段と進むということだ。同社業績の先行指標ともいえる需要家数は順調に拡大しており、2015年10月初頭で6,000を突破し、12月にまでに7,000を超えるに至っている。この拡大ペースは同社の計画を大幅に上回っている。
人員増は今後も続くとみられるが第2四半期までと比較すれば販管費増のペースが鈍化するとみられる一方、売上高拡大のペースの方が加速してくるとみられるため、今下期は利益率が改善してくると期待される。2016年3月期は下期ヘビーの予算配分となっているが、達成される可能性は十分高いと弊社では考えている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)
2015年12月21日 Kabutan
■電力小売完全自由化と中期成長戦略
(4)中期業績目標
イーレックス<9517>は2016年3月期から2018年3月期までの3ヶ年中期経営計画を策定している。“Challenge(チャレンジ)”を基本コンセプトに、「電力全面自由化に伴う低圧・家庭市場へ参入を通じて、売上高500億円、当期純利益40億円に飛躍するための準備期間」がこの中期経営計画期間であるという位置付けである。
当中期経営計画期間中の数値目標は、最終年度の2018年3月期において、売上高46,000百万円、営業利益3,500百万円、当期純利益2,500百万円、ROE(自己資本利益率20.4%)を掲げている。またその先の経営目標としては売上高500億円、ROE20.0%、配当性向20.0%を掲げている。
中期経営計画の基本戦略として同社は2つの大きなテーマを掲げている。1つは販売面についてで、家庭を中心とする小口・低圧需要家市場への参入である。もう1つは電力調達面で、自社電源の開発及び、JEPXを通じた電力トレーディングノウハウ及び調達機能強化を図ることが主な内容である。同社はこれらに関し、電力自由化先進国である米国企業スパーク・エナジー社との連携を通じて強化を図っている点が大きな注目ポイントだ。
足元の中期経営計画の進捗は極めて順調といえよう。前述のとおり、電力小売り完全自由化に向けて販売体制の構築、電源調達対策などは、着々と進行している。需要家(顧客)についても、現状は高圧分野の顧客だが、新規開拓が極めて順調に進んでいる。今中計は、売上高500億円に到達するための準備期間という位置づけでスタートしたが、今中計最終年度の2018年3月期において、売上高500億円が達成される可能性がかなり高まってきている、というのが弊社の現時点での印象だ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)
2015年12月21日 Kabutan
■電力小売完全自由化と中期成長戦略
(3)電源の調達戦略
(i)発電所建設計画
イーレックス<9517>はここにきて電源調達の面でも動きを加速させてきている。同社が現在取り組んでいるのは、同社子会社のイーレックスニューエナジー佐伯(株)(以下「ENE佐伯」)で行っている佐伯発電所の建設だ。これは既存の土佐発電所と同様、PKS(Palm Kernel Shell、パーム椰子の殻)を燃料とするバイオマス発電所だ。定格出力は5万kWの予定で、2016年秋の稼働が予定されている。現在稼働中のイーレックスニューエナジー(株)の土佐発電所と合わせて、2016年秋には出力で8万kW体制となる。
同社の自社発電施設はPKSのバイオマス発電に特徴がある。PKS利用のバイオマス発電はFIT(Feed-in Tariff、固定価格買取制度)を活用することが出来る。
佐伯発電所の次のプランとしては、福岡県豊前市にて検討が進められている。豊前発電所についての検討開始についてはすでにリリースが出されており、同社と九電みらいエナジー(株)(九州電力の100%子会社)、九州高圧コンクリート工業(株)、豊前開発環境エネルギー(株)の計4社が事業化に向けたフィージビリティ・スタディ開始についての合意書を交わしたことが公表されている。
(ii)燃料供給体制
同社の自社発電の燃料は現在PKS主体となっているが、PKSの需給バランスは当面、買い手有利の構図が続くとみられている。輸出元はインドネシアとマレーシアで、年間1,000万トン超の発生が続く見通しだ。他方の輸入国は日本、韓国、シンガポール、タイなどで総需要量は年間100~300万トン程度とみられるためだ。しかし同社は、将来のさらなる自社電源開発も見据えて、電源のための原料調達にも手を打っている。
同社は、豊前やそれ以後の発電所への燃料供給も視野に、燃料供給のための子会社として、佐伯バイオマスセンターを8月に設立した。その燃料置場工事が2016年10月の全面完工を目指して、この11月に着工した。完工のタイミング及び立地から明らかなように、土佐発電所と佐伯発電所への原料安定供給が第1の目的と見られるが、現在検討が開始されている豊前発電所への供給も視野に入っているものと推察される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)
2015年12月21日 Kabutan
■電力小売完全自由化と中期成長戦略
(1)総論
1995年からスタートした電気事業制度改革では、特別高圧分野(原則2000kW以上)から高圧分野(50kW以上2000kW未満)へと段階的に小売り自由化がなされてきたが、2016年4月に低圧分野(50kW未満)への自由化によって電力小売りが完全に自由化されることになり、大きな区切りを迎えることになる。
低圧分野は国内の総電力需要の約40%を占める最大需要分野であり、イーレックス<9517>も含めたPPS各社は低圧分野の小売り自由化を成長のための大きなチャンスと考えて、その販売戦略を着々と準備しているところだ。
また、販売を伸ばすうえで、電源の確保は不可欠な要素だ。外部電源の比重が高過ぎると経営の安定性が損なわれるリスクが高まることになるため、論点は自社電源の確保ということになる。
(2)販売戦略
(i)低圧分野への対応:事業提携
低圧分野への参入とそこでの成功は、同社の中長期的成長シナリオにおいて最重要課題と位置付けられている。同社の具体的なアクションとして、低圧分野の自由化で先行する米国の企業、及び、国内商社グループとの提携がある。
まず同社は、米Spark Energy, Inc.(以下、「スパーク・エナジー社」)と合弁で「イーレックス・スパーク・マーケティング(株)」(以下、「ESM社」)を設立した。低圧分野への参入にあたってはESM社が具体的な販売戦略の頭脳の役割を担う。同社は、インターネットやテレマーケティングの活用、訪問販売、電力取引所の活用などについてノウハウを有することを評価してスパーク・エナジー社を事業パートナーとして選んだ。
次にESM社を軸に、阪和興業<8078>グループとのあいだで、「イーレックス・スパーク・エリアマーケティング(株)」(以下、「ESAM社」)を設立した。ESAM社は阪和興業グループとの協業により各地のLPG販売会社とタイアップして電力小売りを行う実働部隊としての役割が期待されている。LPG販売会社の抱える顧客数は全体で約30万戸を超えている模様で、これを電力の顧客として取りこむことを目指している。
なお、同社が12月16日に発表したプレスによると、既にLPG販売会社10社超との業務委託契約を締結しており、30万件近くの潜在顧客へのアプローチが可能な状態にある事と想像出来る。
ESM社は、ESAM社以外にも複数の合弁会社の設立を検討中だ。販売スキームや合弁相手の業態についても、ESAM社のケースとは全く異なるものもある模様だ。今後の発表がまたれるところだ。
(ii)機動的な販売:代理店制度の活用
同社の特徴・強みとして、機動的な販売戦略がある。同社を含めたPPSの電力の販売先は大きく小売と卸売とに分けられる。小売は最終需要家への直接販売であり、卸売はJEPXへの販売となる。かつては卸売価格が高かったため、卸売電力量が過半を占めていたが、卸売価格の低下に伴い、よりマージンの高い小売電力量を増やしてきている。こうした小売と卸売りの構成変化のスピード感に、同社の機動性を見て取ることが出来る。
また、小売販売においても機動性が発揮されている。同社は電力小売りにおいて代理店制度を採用してきた。代理店の数は、2015年9月末で1,204店となり、1年前から332店(38%)増加した。代理店の属性は基本的には電気主任技術者が所属する団体及び同資格を有する個人である。同社は独立系であり、代理店制度の活用と合わせて、販売戦略策定上の自由度は極めて高く、この点は低圧分野の参入に際しては非常に大きな武器となると弊社では考えている。
同社の代理店活用の仕組みは以下のようになっている。同社は他のPPS同様、既存電力会社よりも安い価格で電力を販売している。仮に同社の販売価格を既存電力会社の価格に対して5%安の水準と仮定すると、代理店はこの電力を需要家に対して既存電力会社の価格に対して3%安の価格で販売する契約を結ぶ。これによって、需要家は既存電力会社の価格に対して3%安の電気代を享受でき、代理店は差分2%を手数料として得ることができ、同社自身は経営計画に基づいた安定価格で電力を販売できることになる。ポイントは、代理店に対して、顧客に対する販売価格の割引率について裁量を認めていることである。この自由裁量は、代理店にとってはインセンティブの役割を果たしていると弊社ではみている。
同社は、独立系であることと前述の代理店販売制度の強み、そして後述する低コストの自社電源の強みを生かし、収益性重視の営業を徹底する戦略だ。
(iii)販売エリア戦略:全国展開に加えて沖縄も視野
同社の営業エリアは、2001年の九州地区及び関東地区を皮切りに順次拡大し、現状では九州・関東・東北・中部・関西・中国の全国6地区となっている。
残るエリアのうち、北海道は電源確保の点で優先順位は低くならざるを得ないとみられる。また、北陸は、元来電気料金が安いため、PPS各社は優位性を打ち出せず、同社も含めてやはり進出の優先度は低くなっている。
そうした中で同社が注目されるのは、沖縄を視野に入れていることだ。同社は10月30日付で沖縄進出に向けた検討開始についてリリースを出している。沖縄は託送料が高いことや卸電力取引所が無いことなどを理由に進出にしり込みするPPSが多いとされているが、参入可能性を探っていくもようだ。
(iv)高圧分野の成長戦略
同社が低圧分野を最重要課題と位置付けている一方で、高圧分野もまた、大きな成長ポテンシャルを有している点は忘れてはいけないポイントだ。
低圧分野への参入は大きなチャンスであることは間違いないが、一般家庭での電気料金削減効果は、月間数百円~1,000円程度と見られるため、普及に時間がかかるという慎重な見方も根強い。他方、産業用途である特別高圧分野や高圧分野では、金額も大きく、経済合理性が働きやすいため、PPSにとっては低圧分野よりも売りやすい相手と言えよう。同社はこうした状況を踏まえて、今後の成長シナリオとして、低圧分野の参入と同様、高圧分野での販売増加も中核に据えている。
同社の高圧分野に対する期待値は、統計の面からも正当化できるものだ。電力需要に占めるPPSのシェアは、自由化から10年以上経過した特別高圧分野および高圧分野においてもまだ10%以下にとどまっている。両者合計で見ると2015年の段階で約7%となっている。同社が得意とする高圧分野は、相対的にシェア上昇ペースが速いが、それでも約8%にとどまっている。これは、高圧分野の伸びしろが依然として大きいことを意味しており、高圧分野は同社にとっての成長源にふさわしい市場であると弊社では考えている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)
2015年12月21日 Kabutan
■事業概要
イーレックス<9517>は1999年、日短エクスコ(株)の多角化の一環として「日短エナジー株式会社」として設立され、翌年に現社名に変更された。2000年に「特定規模電気事業者(PPS)」制度が創設されたのを受けて、2001年1月に経済産業省へPPSとしての届出を行い、電力小売事業を開始した。
同社の事業は、特定規模電気事業者、いわゆる新電力(PPS:Power Producer and Supplier)として、電力を卸売販売並びに需要家に対する小売販売をすることだ。従来、日本では東京電力<9501>に代表される大手電力会社(制度上は「一般電気事業者」と呼ばれる)が地域独占で電力供給を担ってきた。しかし、電力自由化の流れの中で2000年にPPS制度が創設され、同社は3社目の登録事業者として2001年から電力小売事業を開始した。
一般の小売業者が商品を仕入れて販売するように、同社にとっては電力が商品であり、電力の仕入(調達)と販売が事業のポイントだ。小売業との違いは、電力の調達においては、外部からの購入だけでなくメーカーの様に自前で発電も行っているということと、電力は一般的な商品と異なり、貯蔵ができないということだ。
電力調達の面では同社は、自社発電、発電事業者からの購入、日本卸電力取引所(以下、「JEPX」)からの購入、の3つのルートで電力を調達している。一方、電力販売においては、需要家に直接販売する小売販売と、JEPXに対する卸販売の2つの販売ルートがある。
詳細は後述するが、調達面でのポイントは自社発電と外部調達の構成をどうバランス取りするかだ。具体的には、安定供給体制の確保、需要予測、柔軟なコスト構造の実現といった点のバランス取りを考えて電源構成を決めていくことになる。販売面では、小売と卸売のバランス、小売需要家のポートフォリオ構築、販売地域の選択、販売体制・販売ネットワークの構築などの点がポイントだ。特に現時点では、2016年4月に予定されている電力の小売完全自由化への対応が、同社も含めた業界全体の最大の関心事となっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)
2015年12月21日 Kabutan
イーレックス<9517>は電力小売事業を展開する独立系の新電力(PPS)企業。競争力のあるベースロード電源、機動的な販売戦略といった特徴を武器に、2016年からの電力全面自由化の流れのなかで高成長を目指している。
2016年4月に電力小売完全自由化(家庭など低圧・小口の顧客に対して電力小売が可能になる)開始を控え、同社はその準備を加速させている。販売面では、低圧分野での電力小売で先行する米国の企業と合弁で、販売の中核となる会社を設立した。そこを起点にさらに国内商社グループと販売の実働部隊の会社を設立するなど、着々と準備が進められている。また、代理店制度活用による機動性など、同社の強みを最大限に活かして低圧分野での事業を成功させる方針だ。
電源調達面での対応も進んでいる。2016年秋の稼働を目指して、大分県佐伯市でバイオマス発電所の建設が進んでいる。さらに、福岡県豊前市にバイオマス発電所を建設するためのフィージビリティ・スタディ(事業化調査)にも着手した。また、バイオマス原料の安定供給に向けて、佐伯バイオマスセンター(株)を設立し、燃料置場設置工事にも着工している。
足元の業績は好調だ。2016年3月期第2四半期決算は、社内計画に対しては利益が上振れており、順調に進捗している。現時点では高圧分野の顧客(スーパー、オフィスビルなどの事業者)に電力を小売販売しているが、顧客数の増加ペースが加速している。9月末に5,820件だった需要家数は10月初頭に6,000を超え、12月には7,000を超えた。同社は高圧分野での更なる成長と、来年4月からの低圧分野での収益の積上げで、売上高500億円の早期達成を目指している。今中期経営計画はそこに至る途中経過という位置付けだが、今中期経営計画中に500億円が達成される可能性も十分にあると弊社ではみている。
■Check Point
・新たに佐伯発電所を建設中、2016年秋には出力8万kW体制に
・スパーク・エナジー社との連携で事業を強化
・需要家数は順調に拡大、拡大ペースは計画を大幅に上回る
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)
イーレックスは、本日、株式会社東京証券取引所のご承認をいただき、平成27年12月22日をもちまして、当社株式が東京証券取引所マザーズ市場から東京証券取引所市場第一部へ市場変更することとなりますので、お知らせいたします。
プレスリリース
東京証券取引所市場第一部への市場変更承認に関するお知らせ
http://v4.eir-parts.net/v4Contents/View.aspx?cat=tdnet&sid=1311393
2015年11月4日 電気新聞
経済産業省への小売電気事業者の登録申請数が10月末時点で111者となり、100者を超えた。経産省・資源エネルギー庁と電力取引監視等委員会が審査を進めており、111者のうち48者が既に事前登録を終えた。一方、電力小売り全面自由化に向けて経産省は社会的な認知度を高める取り組みを進めており、わかりやすい動画を作成、ホームページで配信するなどの取り組みも進めている。
111者は小売電気事業者の申請、加えて小売供給事業の2者の審査も進行している。エネ庁が必要な供給力を確保しているかを審査。電力監視委は需給管理を行う業務体制が整っているか、説明義務・書面交付義務が順守される体制となっているかなどを見ている。
これまで登録を認めない結果となった事業者はなく、申請書類のうち不明確な点がある場合は、書類の再提出といったやり取りを重ねながら、審査が進められている。エネ庁によると、申請から認可までの期間は、申請者の準備状況によって差が出ているという。
動画は「『電力自由化』のソモソモがダイタイわかる動画」と題し、経産省のホームページで公開した。60秒間で小売り全面自由化の基本的な概要を質疑応答形式で紹介している。
2015年10月7日 どうしんウェブ
http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/economy/economy/1-0188115.html
九州電力と新電力のイーレックス(東京)が、福岡県豊前市に間伐材などを加工した燃料を利用する木質バイオマス発電所の建設を検討していることが7日、分かった。出力規模は数万キロワットを見込んでいる。バイオマス発電は太陽光や風力と異なり気象条件に左右されないため、安定的な再生可能エネルギーとして各地で導入が広がる可能性がある。
発電所の運営は、九電の再生エネ事業を担う子会社「九電みらいエナジー」(福岡市)とイーレックスが出資して設立する新会社が担うとみられる。イーレックス側は、2016年4月に始まる電力小売り自由化に向け、電源の確保や販路拡大につなげたい考え。
2015年10月5日 電気新聞
新電力(特定規模電気事業者)のイーレックス(東京都中央区、渡邉博社長)は10月1日の供給開始分で、特別高圧と高圧の電力供給先が6千件に達した。2014年10月には2500件前後だったが、供給エリアの拡大や代理店の拡大により、この1年で2倍以上に増えた。
5月に表明していた中国エリアへの進出についても、1日から電力小売事業を始めた。鳥取、島根、岡山、広島、山口の各県に加え、兵庫、香川、愛媛の各県の一部にも供給する。
イーレックスは14年以降、中部、関西、中国と供給エリアを順次拡大してきたほか、代理店制度に基づく代理店の拡大に努めてきた。代理店については、今年3月に千社(個人・法人)の大台に達した。
2015年9月25日 Kabutan
■株主還元
イーレックス<9517>は株主還元について、配当を基本としている。配当水準については、中期経営計画の中において、配当性向20%という配当目標を掲げている。
2015年3月期は普通配10円及び記念配10円の合計20円の配当を行った。これはその前年に行った9円配(株式分割調整後の値)から2倍以上の増配であった。2016年3月期については、前期横ばいの20円配を予定している。ただし内訳は普通配20円となっており、普通配の配当のベースを引き上げた形である。2016年3月期の予想1株当たり利益68.66円に基づく配当性向は29.1%となり、前期の22.4%から一段の上昇となる。前述のように、同社は配当性向の目標値を20%としており、今後収益の拡大に応じた配当の更なる増加も期待できよう。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)
2015年9月25日 Kabutan
■業績動向
(1)直近決算及び2016年3月期通期業績見通し
a)直近決算
イーレックス<9517>の2015年3月期は売上高が170億円(前期比11.5%増)、営業利益が14億円(同4.9%増)、経常利益が11億円(同18.6%減)、当期純利益が9億円(同13.2%増)で着地し、売上高・利益ともに前期比で順調に拡大した。
売上高は代理店数増に伴う顧客増及び卸売りから小売りへのシフトによる価格上昇効果などで順調に拡大した。電力の仕入数量増加によって売上総利益が前期比で減益となったものの、販管費を抑制して営業増益を達成した。経常利益は連結子会社によるアレンジメントフィーの支払があり減益となった。
2016年3月期第1四半期決算は、売上高が48億円、営業利益が1億円、経常利益が1億円、当期純利益が1億円となった。今第1四半期は前期に引き続き取引所卸電力価格が下落しその影響があった一方、小売へのシフトによる平均販価引き上げ効果もあり、ほぼ計画どおりの着地となった。
事業面での進展としては、2015年4月から関西地区での電力小売を開始したほか、今第1四半期中には前述した米国Spark Energy社との間で、国内の低圧分野市場参入に向けたフィジビリティ・スタディ(実行可能性調査)を開始した。これは9月1日の合弁企業設立へと結実し、来年4月からの電力小売完全自由化に際しての本格事業開始が待たれるところとなっている。
b) 2016年3月期通期見通し
2016年3月期通期の業績について同社は、売上高が240億円(前期比41.1%増)、営業利益が15億円(同2.4%増)、経常利益が14億円(同24.1%増)、当期純利益が9億円(同1.5%増)を予想している。これらは期初予想から変更はない。
売上高は足元も代理店数が増加していることに加え、10月から中国地区で電力小売がスタートするため、顧客数増加による増収が期待されている。利益面で営業利益の伸び率が2.4%に留まる見込みであるのはイーレックスニューエナジーの土佐発電所において、定期修理が計画されているためである。それを除けば、事業環境において基本的には変化はなく、顧客数拡大による卸売りから小売へのシフトを一段と強めて、収益性改善へと注力する方針である。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)
2015年9月25日 Kabutan
■中期経営計画及び成長戦略
(1)中期経営計画の概要
イーレックス<9517>は2016年3月期から2018年3月期までの3ヶ年中期経営計画を策定している。“Challenge(チャレンジ)”を基本コンセプトに、「電力全面自由化に伴う低圧・家庭市場へ参入を通じて、売上高500億円、当期純利益40億円に飛躍するための準備期間」がこの中計期間であるという位置付けである。
当中計期間中の数値目標は、最終年度の2018年3月期において、売上高456億円、営業利益38億円、経常利益36億円、当期純利益25億円、またその先の経営目標として、売上高500億円、ROE20%、配当性向20%を掲げている。
中計の基本戦略として同社は2つの大きなテーマを掲げている。1つは販売面についてで、家庭を中心とする小口・低圧需要家市場への参入である。もう1つは電力調達面で、自社電源の開発及び、JEPXを通じた電力トレーディングノウハウ及び調達機能強化を図ることが主な内容である。同社はこれらに関し、電力自由化先進国である米国企業Spark Energy社との連携を通じて強化を図っている点が大きな注目ポイントだ(詳細は後述)。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)
2015年9月25日 Kabutan
■イーレックスの特徴及び強み
(1)競争力のあるベースロード電源
イーレックス<9517>の電源調達ルートはJEPXを通じた調達、発電事業者からの買電、及び自社発電の3つである。同社の特徴かつ強みと言えるのが連結子会社イーレックスニューエナジー(株)の土佐発電所である。同発電所はPKS(パーム椰子の殻)を主燃料とするバイオマス発電所で、FIT(Feed-in Tariff、固定価格買取制度)の活用によって、その採算性は石炭火力及びLNG火力などと比較して圧倒的に高い水準である。
土佐発電所は太平洋セメント<5233>の旧土佐工場敷地内に立地しており、太平洋セメントの旧土佐工場のインフラ及び人材(OB社員等)を活用できている点も、同社にとっては大きなメリットであるとみられる。バイオマス発電にはその主原料によって様々なタイプがあるが、同社の土佐発電所はPKSを利用している。PKS利用バイオマスとしては国内初、かつ国内最大の発電量を誇っている。
同社のPKSバイオマス発電例えば太陽光発電と比較してインバランスコストが低いことも大きな優位点だ。電力需要は絶えず変動し、需要のピーク時とボトム時に大きな差が生ずる。この需要変動に対応するために電力供給者は、必要ならば他者(JEPXや他の電力供給業者など)から電力を調達しなければならないが、この費用をインバランスコストという。PKSバイオマス発電は通常の火力発電同様、燃料供給が確保される限り24時間安定した発電量を確保できるため、インバランスコスト低下につながる。
PKSの燃料としての性質及び需給環境も好ましい。重量当たりの熱量が3,500kcal/kgと高いことも発電用原料として有利な点である。需給については、インドネシア及びマレーシアを中心に年間1,000万トン超の供給であるのに対して、需要が年間100万トンと大きな開きがある。PKS発電の拡大に伴い年間300万トン程度に需要が拡大するとの見方があるが、当面は供給が需要を大きく上回る状況が続く見通しである。
(2)機動的な販売戦略
同社の電力の販売先は大きく小売と卸売とに分けられる。小売は最終需要家への直接販売であり、卸売はJEPXへの販売となる。かつては卸売価格が高かったため、卸売電力量が過半を占めていたが、卸売価格の低下に伴い、よりマージンの高い小売電力量を増やしてきている。
販売面での同社の特徴は、小売において代理店制度を活用しているということである。独立系PPSとして同社は、当初から代理店を活用してきたが、2015年7月末現在の代理店数は1,129店に達している。代理店の属性は基本的には電気主任技術者が所属する法人や同資格を有する個人、その他事業会社である。
同社では、顧客および代理店それぞれがメリットを享受出来る代理店制度を構築している事が特徴である。
具体的には、同社は代理店に対して顧客に対する販売価格について裁量を認めている。代理店にとっては顧客への提案内容に自由度が持てる事で成約率の向上に繋がり、成果報酬型の代理店制度において代理店にとってはインセンティブの役割を果たしていると弊社ではみている。
また、顧客にとっても用意されたメニューでは無く、協議を経た価格水準での契約となる事で、納得感を得やすい体制になっているものとみられる。
独立系である同社は、代理店制度を活用して自由度が高い販売戦略を採ることが可能である。その真価は2016年4月からの小口・低圧分野が自由化されてから、より明確になってくると弊社では考えている。需要家の電力使用度合いを表す指標に「負荷率(年間使用電力量÷契約電力÷24時間÷365日)」というものがある。一般家庭など小口・低圧需要家は、一般的に負荷率が低い。負荷率が低い顧客は、相対的に基本料金の占める割合が高く、また、電力会社はそこで使われない電力を他に販売する余裕が生まれるため、電力会社にとってこれらの顧客は収益性の高い顧客ということになる。同社は、1,000を超える代理店網を有し、それらを通じて一般家庭などの小口・低圧需要家顧客の開拓を進め、成長につなげる戦略を採っている。
また、小口・低圧需要の販売価格は大口・高圧需要家よりも割高に設定されている。同社は顧客に占める小口・低圧需要家の割合を高めることで他社と比較して高い平均販売価格を実現していく方針である。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)
2015年9月25日 Kabutan
■会社概要
(1)沿革
イーレックス<9517>は日短エクスコ(株)の多角化の一環として1999年、「日短エナジー株式会社」として設立され、翌年に現社名に社名変更した。2000年に「特定規模電気事業者(PPS)」制度が創設されたのを受けて、2001年1月に経済産業省へPPSとしての届出を行い、同年4月に九州地区で、同年11月に関東地区で、それぞれ電力小売事業を開始した。
その後、電力販売地域を東北地区、中部地区、及び関西地区と、販売地域を順次拡大する一方、五井コーストエナジー(株)への出資やイーレックスニューエナジー(株)及びイーレックスニューエナジー佐伯(株)の設立を通じて電源確保の取組みを行ってきた。
株式市場には2014年12月に東京証券取引所マザーズに上場し現在に至っている。
(2)事業モデル
同社の事業は、特定規模電気事業者、いわゆる新電力(PPS)として、電力の卸売販売及び需要家に対して小売販売することである。従来、日本では東京電力<9501>に代表される大手電力会社(制度上は「一般電気事業者」と呼ばれる)が地域独占で電力供給を担ってきた。しかし、電力自由化の流れの中で2000年にPPS制度が創設され、同社は3社目の登録事業者としてこの事業を開始した。
同社は、自社発電、発電事業者、及び日本卸電力取引所(JEPX)の3つのルートで電力を調達し、JEPXを通じで卸売を行うほか、現在自由化されている特定高圧分野(2000kW以上。大型工場及び大規模オフィスなど)、高圧分野(50kW以上2000kW未満。中小工場、スーパーなど)に電力を小売販売している。低圧分野(50kW未満。一般家庭及びコンビニ・商店など)については、2015年現在は販売が規制されているが、2016年4月以降は低圧分野への電力販売が自由化され、同社も販売が可能となる予定である。
同社は連結ベースの社員数が51名(2015年3月末現在)と少数精鋭をモットーとしている。その陣容で日本のほぼ全域を対象とした営業活動を行える秘訣は、「代理店制度」にある。同社は2015年7月末現在、1,129店の代理店を活用し、5,159件の需要家数を獲得するに至っている。2015年3月末との比較では、4ヶ月間のうちに代理店数は112店、需要家数は1,351件、それぞれ増加したことになる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)
2015年9月25日 Kabutan
イーレックス<9517>は電力小売事業を展開する独立系の特定規模電気事業者、いわゆる新電力(PPS:Power Producer and Supplier)企業である。競争力のあるベースロード電源、及び機動的な販売戦略といった特徴を武器に、2016年からの電力全面自由化の流れのなかで高成長を目指している。
同社の販売先は大きく卸売と小売に分けられるが、現在はマージンの高い小売を強化している。同社の販売面での特徴は電力小売において1,129店もの代理店を活用している点である。同社はこれらの代理店に対して販売面での価格設定において裁量を与えることで、代理店の販売動機付け及び同社自身の販売価格安定化を図っている。代理店を通じて主として高圧分野の顧客を中心に5,000超の顧客を獲得している(数字はいずれも2015年7月末現在)。
同社が成長シナリオの核と位置付けるのは、2016年4月に予定されている電力全面自由化である。これによって一般家庭、コンビニエンスストア、及び商店などを対象とする低圧需要家に対して電力販売が可能になる。同社は低圧市場自由化に向けて、経験豊富な米国Spark Energy社と連携して事業を展開する方針を選択し、この9月に合弁会社を設立した。同社が現在主戦場としているのは高圧分野であるが、この市場は今後もPPSにとっては成長余地が大きく、同社は、高圧及び低圧の2つの需要分野において顧客数増による更なる成長を目指す。
電力の調達ルートは自社発電、外部購入及び取引所取引である。同社の特徴は連結子会社で行っているPKS(Palm Kernel Shellの略で椰子の実の種からパーム油を搾り取った後の残り殻)を燃料とするバイオマス発電である。固定価格買取制度の活用によって大きなコスト優位性を実現し、同社にとって低コストのベースロード電源の確保に大きく貢献している。現在、2016年秋の稼働開始を目指して、より一層大型で同種のバイオマス発電所を建設中である。
■Check Point
・採算性が高いパーム椰子の殻を主原料とするバイオマス発電所
・低圧分野の自由化によって対象市場は実質的に倍増
・国内の低圧分野市場参入向けた実行可能性調査を開始
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)
2015年9月22日 ZUU online
2016年4月、いよいよ電力の本格的自由化がスタートする。従来は大手企業だけが対象であった電力自由化は、今回は家庭も含めての完全自由化となる。これにより私たちの生活はどのように変わるのだろうか。また、電力完全自由化は私たちの社会にどのような影響を及ぼすのだろうか。
電力価格に市場原理を導入
現在、日本の電力会社は10社に集約されているが、電力価格が硬直化した状態が長く続いていることが問題視されていた。そこで電力価格に市場の競争原理を導入するため、2000年3月には電力自由化が部分的に解禁されることとなる。
当時解禁されたのは、大規模な工場やビルといった電力消費の大きい供給先だけであり、完全自由化と呼べるものではなかった。それが次第に緩和され、2016年4月からは各家庭でも電力会社を自由に決めることが出来る「完全自由化」となる。
それでは、電力が完全自由化されると、私たちの生活はどのように変化するのだろうか?
最大のメリットは選択の幅が広がること
これまでは、自分の居住地域によって自動的に契約する電力会社が決められていたが、来年4月からは私たち消費者の自由意志でどこの電力会社と契約するかを選択することができる。現在のまま契約を変えないという現状維持の判断もあれば、電気料金のもっとも安い電力会社に乗り換えることも可能だ。
消費者にとっては選択の幅が広がることが最大のメリットであり、たとえば携帯電話のように自分のライフスタイルに合わせた料金プランを選択できるようになることも考えられる。
「市場価格と連動」とはどういう意味か?
ただし、電力が完全自由化されると日本卸電力取引所(JEPX)の市場価格と連動するようになる点には留意する必要がある。
「市場価格と連動」とは、つまり需給バランスを反映した価格が形成される、という意味である。たとえば、電力需要が供給を大きく上回る「供給不足」となれば、価格は上昇し、逆に「供給過剰」になれば価格が低下する。これは市場原理に従った公正な価格形成とも言えるが、私たち消費者にとっては必ずしも常に安い電気料金が保証されるとは限らない。新規参入する電力会社も、安さだけを売りにした薄利多売だけで経営を持続させることは困難となる恐れもある。
ひとり一人の選択が将来の社会を変える
もちろん、私たちが選択する判断基準は価格に限ったことではない。原子力、火力、水力、はたまた太陽光エネルギーや風力といった再生可能エネルギーなど、発電方式を基準に選ぶことも出来るのだ。当然、それぞれの発電に必要なコストも異なり、電気料金にも差が出ることも考えられる。ここで重要なのは、私たち消費者の選択によって将来どの発電方式が生き残るかが決定づけられるということだ。
資源の乏しい日本において、電力は非常に重要な社会インフラでもある。電力の完全自由化は、私たち消費者が多様な価値観、判断基準で自由に選択できる新時代の幕開けを告げるとともに、その選択によって将来の社会のありようを大きく変えてしまう可能性を示唆している。社会をどのように変えるかは、私たちひとり一人の選択にかかっている。「選択の自由」の代償といて、私たち消費者は大きな社会的責任を負うことになるのだ。(ZUU online 編集部)
2015年8月17日 環境ビジネスオンライン
新電力のイーレックス(東京都中央区)は、米国において電力・ガス供給サービスを手掛ける、スパークエナジー(米国テキサス州)と、日本国内の家庭向け電力小売りの参入に向けて、業務提携し、合弁会社を設立すると発表した。事業開始は10月1日を予定。
合弁会社の名称はイーレックス・スパーク・マーケティング。資本金は4億9000万円(予定)、出資比率はイーレックスが80%、スパークエナジーが20%。
イーレックスは、2016年4月に予定されている電力システム改革により解放される低圧分野(家庭用・小規模オフィス・商店等)の小売部門の全面自由化を視野に、スパークエナジーと日本国内における低圧分野への参入について可能性調査を共同で行ってきた。
今回、8月15日開催の取締役会で、スパークエナジーとの間で、業務提携を行い、合弁会社を設立する方向で協議を進めることを決定した。
両社は、事業戦略・地域戦略に応じて、互いを重要なパートナーとして位置づけ、協業による高次の日本における低圧分野でのサービス提供体制を構築していく。
その業務提携の一環として、低圧需要家向けの電力小売事業を営む合弁会社を設立すると共に、両社合同にてワーキンググループを組織し、合弁会社のスムーズな設立や協業分野の検討を行っていく。
Spark Energy, Inc.との業務提携および合弁会社(子会社)設立検討に関するお知らせ
http://v4.eir-parts.net/v4Contents/View.aspx?cat=tdnet&sid=1281250
2015年8月11日 電気新聞
2016年4月の電力小売り全面自由化により、一般電気事業者や新電力(特定規模電気事業者)、特定電気事業者(特電)といった類型はなくなり、発電事業と送配電事業、小売電気事業ごとにライセンス制が導入される。小売電気事業に関しては、新電力などを対象に事前登録の申請受け付けが3日から始まったが、一般電気事業者には“みなし規定”が適用され、16年4月末までに登録に関する書類を提出することになる。
小売電気事業に必要な書類は、新電力が現在提出している内容と同様。六本木エネルギーサービスなど、限定された区域の建物に自らの発電設備で電力供給を行う特電にも“みなし規定”が適用される。
一方、発電事業と送配電事業では、一般電気事業者と特電に書類提出といった手続きは必要なく、16年4月には発電事業者や一般送配電事業者、特定送配電事業者に移行する。
2015年7月17日 日本経済新聞
大手電力10社と新電力23社などは17日、2030年度の二酸化炭素(CO2)排出量を13年度比で約35%減らす自主目標を策定したと正式発表した。販売電力量1キロワット時あたりの排出量を0.37キログラムとし、年度末に東日本大震災が発生した10年度より少なくする。ただ、排出総量の削減目標や各社別の削減目標は示しておらず、実効性には不透明感も残る。
原子力発電所の再稼働や老朽原発の運転延長を目指すほか、再生可能エネルギーも拡大する。火力発電所を新設する際は最新鋭の設備を導入する。発電所が少ない新電力は省エネルギーサービスなどの普及を図る。
大手電力と新電力が共通目標を作るのは初めて。Jパワーと原子力発電専業の日本原子力発電も参加し、合計35社で販売電力量の99%を占める。目標の達成状況は毎年確認し、翌年からの取り組みに反映していく。
一方、望月義夫環境相は17日の閣議後会見で電力業界側が示した枠組みについて「(環境省が電力業界側に示している)3つの要件を確認しないといけない」と述べた。環境省は業界側が公表した枠組みが要件を満たしていないと判断している。同日国連に提出する温暖化ガス削減目標の達成が土台から揺らぎかねないと危惧しており、今後電力業界側との調整が難航しそうだ。
二〇一六年四月に始まる電力小売り自由化を受け、経済産業省が、当初は小売業者が宣伝をする際には禁止する方針だった「環境にやさしい再生可能エネルギー」などのうたい文句の使用を、認める方向で検討に入ったことが分かった。日本弁護士連合会や自民党などから批判が続出したため方針を転換した。
経産省は自由化後に電力小売会社が商品を説明する際のルールを定めた省令案をつくり、一日まで一カ月間パブリックコメント(意見公募)を行った。
省令案には「再生エネによる電力が環境への負荷の低減に資するものである旨を説明してはならない」との条文が設けられていた。再生エネは固定価格買い取り制度で国が導入を支援しているため企業が独自に「環境にやさしい」「グリーン電力」などのうたい文句をつけるのは適切でない、という理屈だった。
これに対し意見公募で異論が相次いだ。日弁連は「再生エネが公的な支援を受けているという明確な説明を義務付ければ解決できる」と指摘。その上で「電力の環境への影響についての情報は消費者の選択において極めて重要」とし、表記を認めるよう要求した。自民党内でも同じ意見が出た。このため経産省は該当する条文を削除する方向で修正を始めた。
一方、省令案には別の問題も残っている。電力会社は商品となる電力に「○%は再生可能エネルギー、○%は火力、○%は原発」といった説明を義務付けず各社の判断に委ねた点だ。欧州諸国は大半が義務化。意見公募でも「消費者の重要な判断材料なので表示を義務付けるべきだ」との異論が相次いだ。自民党でこの問題を話し合ってきた再生可能エネルギー普及拡大委員会事務局長の秋本真利衆院議員も「今の省令案のままでは、原発の電力を大量に仕入れても隠せてしまう」と、見直しを求めている。
経産省は今月中にも省令を固め、詳細な商品説明の方法を定めた指針をつくる方針。(吉田通夫、宮尾幹成)
イーレックス---電力供給先は5,000箇所を達成見通し、代理店数も1,000社を突破
イーレックス<9517>は、新電力「PPS」として、工場・オフィス・商業施設など高圧電力需要者に対する電力小売、電力卸売、電源開発等の事業を展開。調達はバイオマスや太陽光など多様化。電力小売(特別高圧・高圧)について、2015年7月1日供給開始分で電力供給先が5,000箇所を達成する見通し。2015年2月からは子会社による佐伯発電所(商業運転開始は2016年11月予定)の建設工事を開始している。
販売面では、2015年3月時点で代理店数が1,000社を超え、順調に顧客数が拡大。2015年3月期の業績は、売上高で前期比11.5%増の170.74億円、営業利益で同4.9%増の14.75億円、当期純利益で同13.2%増の9.22億円となった。
2016年3月期の業績予想は、売上高で前期比41.1%増の240.86億円、経営利益で同24.1%増の14.05億円と大幅な増収を見込む。
今後は、2016年4月の低圧・家庭用市場の電力自由化により6.9兆円という巨大市場が解放される予定で、低圧部門に参入を予定している。ここでも同社の1,000社を超える代理店制度が大きく貢献すると予想される。また、米の自由競争下で成功しているスパークエナジー(テキサス州)とフィージビリティスタディ(事業化可能性調査)を開始しており、先行している米国企業のノウハウを吸収し、競争力の高いサービス提供により電力自由化のイニシアチブを取りにいく。
自由化販売分野の拡大への対応と合わせ、中国エリアや関西エリアへと販売エリアを拡大も予定している。また、現在は電力調達に占める自家発電の割合は約15%だが、バイオマス発電の規模を高め、数年後には3分の1以上に比率を高めていく予定だ。
2015年6月17日 電気新聞
経済産業省・資源エネルギー庁の電力調査統計によると、2014年度に小売り販売実績のあった新電力(特定規模電気事業者)は前年度比約1.5倍の68社に増えた。前年度から販売を継続する43社のうち38社が前年度実績を上回ったほか、新たに25社が販売を開始し、経営環境の悪化に苦しむ電力会社のシェアを奪った。
14年度末時点の新電力数は651社で、このうち10%強が14年度に小売り販売を行った。販売電力量は前年度比24.0%増の281億7261万5千キロワット時となり、特定規模需要に占める新電力の販売比率は前年度の4.17%から5.24%に拡大した。特別高圧のシェアは3.82%から4.18%、高圧のシェアは4.45%から6.05%にそれぞれ伸ばした。
2015年6月9日 電気新聞
事業実態「未詳」が3割――。
帝国データバンクは、2016年4月の電力小売り全面自由化を控えて、届け出が相次いでいる新電力(特定規模電気事業者)の事業特性を分析した。
今年4月末時点で届け出ている新電力654社のうち、設立から日が浅く営業実績がない企業や実態が判然としない企業が3割強の209社に上るとした。
一方、電力販売実績がある企業は71社にとどまった。
全面自由化とともに供給力確保義務を満たした企業のみが小売り電気事業者として登録できるライセンス制に移行するため、同社は分析を踏まえ「ライセンスを取れないれない企業の淘汰(とうた)が始まる可能性がある」としている。
2015年6月9日 SankeiBiz
http://www.sankeibiz.jp/macro/news/150609/mca1506090500003-n1.htm
2016年4月の電力小売り自由化に対する意識を、みずほ情報総研が全国3500人の成人男女を対象にインターネット調査したところ、83%が「電気料金が現在より低ければ乗り換えたい」と答えたことが8日、明らかになった。
また、電力供給事業者を選ぶときの判断材料として、「緊急時、災害時にも停電せず、安定して電力を供給できること」が81%と最も多く、「安さ」「安定性」を重視する消費者の傾向が浮かび上がった。
電気料金がどれだけ値下がりすれば乗り換えるかについては、「5%以上の低減で乗り換える」とした人は19%、「10%以上の低減」は33%、「20%以上の低減」は66%だった。
乗り換え先の候補として「ぜひ検討したい・検討してもよい」とした中で、最も多かったのは、地方自治体の49%となった。インターネット調査は今年2月10日から23日にかけて行われた。
電力購入先を東北電力から特定規模電気事業者(新電力)に乗り換えるなどした企業や自治体が2014年度、前年度より6割以上増えたことが分かった。16年4月に予定される一般家庭を含む小売り全面自由化を前に、電力事業者間の顧客争奪戦がますます激しくなりそうだ。
東北電の14年度の流出件数は前年度比62.6%増の2883件で、自由化対象の顧客全体に占める累計の割合は2.2%から3.6%に増えた。契約電力の累計は35.0%増の計37万8000キロワットだった。
顧客の流出は、契約電力50キロワット以上の企業などが、電力購入先を自由に選べるようになった05年度から始まった。10年度末に累計1000件を突破。東日本大震災の発生後は沈静化したが、13年9月に実施した電気料金の引き上げ後は、顧客離れが加速した。
東北電の担当者は「14年度は新電力の発電設備増強や、自治体の電力入札導入の広がりもあり、他の事業者に流れたのではないか」と分析した。
電力市場全体のうち小売りが自由化されたのは約6割。新電力として多様な業種から約660社が名乗りを上げている。ただ、現状は市場規模が大きい東京や大阪など大都市圏が主戦場だ。東北では新電力の自前の発電設備が少なく、一部大手を除きシェアを伸ばしきれていない実情もある。
来年4月に一般家庭など小口契約まで市場が開放されると、電力業界は本格的な競争時代を迎える。東北電は本年度供給計画で、10年後の24年度時点で販売電力量全体の2.57%に当たる22億キロワット時の流出を見込んでいる。
東北電は「安定供給に加え、市場動向を踏まえた新たなサービスや料金メニュー、省エネ相談を通じて顧客に選ばれるよう取り組む」と説明した。
2015年6月2日 スマートジャパン 三島一孝
http://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1506/02/news093.html
2012年7月の再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度(FIT)や、2016年4月に予定されている電力小売り完全自由化などを背景に、特定規模電気事業者への登録が相次いでいる。2014年4月25日時点での登録は206社だったのに対し、2015年5月21日時点での登録は663社まで増加しており、1年間で登録事業者数は3倍以上に急増している状況だ。
急速に拡大する事業者数だが、これらの事業者はどういう企業体なのだろうか。帝国データバンクでは、同社のデータベースである企業概要ファイル「COSMOS2」などを活用し、これらの事業者の実態調査を行った。
調査によると、都道府県別で最も登録事業者数が多いのが「東京都」で219社、構成比33.5%となっている。次いで「愛知県」(44社、構成比6.7%)、「大阪府」(41社、同6.3%)、「福岡県」(32社、同4.9%)、「北海道」(30社、同4.6%)が続いている(図1)。全国的に参入が広がっており、「宮城県」と「島根県」を除く45都道府県で参入事業者があることが特徴だ。
これらの企業のうち、設立時期が確認された650社を見てみると、東日本大震災以降に新設された企業が非常に多いことが分かる。特定規模電気事業者への登録企業の内、2012年に設立された企業が55社、2013年が45社、2014年が58社となっている。また、2015年に設立された企業も28社となっており、設立後間もないベンチャー企業が多く参入していることが明らかとなっている。
業種別に見ると、「卸売業」(139社、構成比21.3%)がトップとなり、次いで「建設業」(97社、同14.8%)、「小売業」(85社、同13.0%)となっている。このうち、電気事業者以外の業種を見ると、「電気機械器具卸売」(54社、同8.3%)、「家庭用機械器具小売」(35社、同5.4%)、「石油卸」(27社、同4.1%)、「電気工事」(26社、同4.0%)、「燃料小売」(24社、同3.7%)などが上位を占めている。
一方でこれらの企業の年間売上高では、「1億円以上10億円未満」(141社、構成比21.6%)が構成要素としてはトップとなった。全体的には10億円以上の企業が約4割を占めている。一方で、設立から日が浅く営業実績がないケースや事業実態が判然としないケースなどを含む「未詳」が209社(構成比32.0%)となっており、全体の3割強となっている。実際に電力小売りビジネスを行える運用能力があるかどうかについては、今後の課題になるものと見られている。
現行制度では、経済産業省・資源エネルギー庁に「特定規模電気事業者」の届け出をすることで参入でき、2015年5月21日時点の新電力会社数は、前年比3倍以上となる663社まで急増している。しかし、登録社数が増加した一方で、2015年3月時点で「特定規模電気事業者」として電力販売実績がある企業は71社にとどまっており(資源エネルギー庁調べ)、届け出を行った企業の大半は登録したものの新電力会社として稼働していない。
さらに、2016年4月の電力小売り事業の全面自由化と同時に「特定規模電気事業者」への届け出制度が廃止され、「小売電気事業者」の登録がないと電力小売り事業へ参入できなくなる。今後は2015年後半から事前登録が開始される見込みの「小売電気事業者」にシフトする流れが進むとみられる。このため「新電力会社としてのライセンスを獲得できない企業の淘汰が始まる可能性がある」(同社)としている。
九州電力管内の企業・工場や自治体などが、電力の購入先を九電から切り替えた「離脱」件数が2014年度、前年度に比べて約6割増えたことが分かった。九電が13年春に実施した電気料金値上げなどを理由に大半は料金が割安な新電力(特定規模電気事業者)に契約先を変えたとみられる。
九電によると、今年4月1日時点の離脱件数は、前年度比60・6%増の5761件(需要規模ベースでは48・3%増の84万1000キロ・ワット)だった。
電力小売り事業は2000年、大規模工場などの大口向けが自由化された。現在は契約電力50キロ・ワット以上の企業・工場などが原則、電力の契約先を自由に選ぶことができる。新規参入の新電力は通常、電力会社より数%割安な料金を設定しており、九電管内でも光熱費を節減したい企業・工場などが九電から変更したとみられる。
2015年3月3日 日本経済新聞
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDF03H0D_T00C15A3MM0000/
政府は3日、2020年に電力9社の発送電を分離し、都市ガス3社にも22年に導管部門を分社化するよう義務付ける電気事業法などの改正案を閣議決定した。家庭向けの電気料金を国が認可する規制も撤廃する。電力・ガス市場に異業種が参入しやすくなり、地域独占が続いた約10兆円の家庭向け市場の開放は総仕上げに入る。料金の引き下げやサービスの多様化を促す狙いだ。
政府は改正案を近く国会に提出し、今通常国会での成立を目指す。宮沢洋一経済産業相は同日の閣議後の記者会見で「エネルギーをどこから買うか消費者が選ぶ時代になる。安倍政権の成長戦略の柱として改革を進める」と強調した。
改正案の柱は電力とガスの分社化義務付けで、電力は20年4月に送配電部門を分社化するよう求める。送配電部門が大手電力にとどまれば、送配電の利用料が高止まりして新規参入を妨げる懸念があった。都市ガスは17年に家庭向け市場を含めて全面自由化し、22年4月に東京、大阪、東邦の大手3社の導管部門を分社化する。
電力小売りの参入自由化は2000年から段階的に進んできたが、昨年の電気事業法改正で16年から家庭向けも含めて全面自由化することが決まっている。東京都の家庭の場合、電気の購入先は東京電力に限られてきたが、16年の全面自由化後は新規業者などほかの電力会社などから自由に選べるようになる。
今回の改正案では、料金の認可規制を20年4月以降に撤廃することを盛り込んでおり、地域独占だった家庭向けの電気供給は、料金やサービスなどが大幅に多様化する可能性がある。例えばガス会社が電力に参入すれば、電力とガスをセット料金にしたサービスが展開できる。住宅メーカーが住宅購入者に割安で電力を供給するサービスなども可能になる。
政府は1995年以降、大型工場など大口向けを皮切りに電力と都市ガスの自由化を進めてきた。現在の自由化率は家庭向けなどを除いて電力が62%、ガスは64%だ。家庭市場は最後まで電力大手やガス大手による地域独占が続いていたが、16年には約8兆円の家庭向けの電力市場、17年には約2兆円の同ガス市場が自由化され、改革は総仕上げの段階に入る。
11年の東日本大震災以降に全国の原子力発電所の運転が相次いで停止し、家庭向け電気料金は震災前に比べ約2割、企業向けは約3割上がった。ガス料金も欧米に比べ高い水準が続いている。政府は電力とガスの相互参入や異業種の参入を促し、競争を活発にすることで、エネルギー料金の引き下げにつなげる考えだ。
2015年2月9日 7時2分 産経新聞ニュース
電気料金の値上げに向けた手続きを進める関西電力に、消費者の怒りが爆発している。
食料品などの物価が上昇する一方、実質賃金は目減りを続けるなか、この2年で2度目となる電気料金の値上げ。関電の家庭向け電気料金は、全国10電力でも最高水準となる見込みだ。消費者向けの再値上げ説明会では、高止まりする役員報酬や顧問報酬、収支改善に関する“無策”ぶりがやり玉にあがった。
「値上げの原因は原子力発電所の停止だけか。火力発電の燃料費の計算根拠をはっきりしてほしい」「経営の効率化で、どれほど燃料費を圧縮できるのか」。
1月末、関西消費者団体連絡懇談会の主催で大阪市内で開かれた再値上げに関する説明会。昨年末の再値上げ表明後、関電が初めて直に消費者の声に触れる場となったが、冒頭から厳しい声にさらされた。
消費者側の矛先がまず向かったのは、関電が再値上げの理由の切り札として主張している火力燃料費の増加。説明会でも、グラフなどを用いながら平成27年度は燃料費などを中心に約3200億円の費用増になり、経営効率化では吸収しきれないと強調した。
だが、消費者側は納得しない。2年前の前回値上げ時、4年連続が見込まれる赤字決算、と関電は自社の苦境を“アピール”する材料に、燃料費の増加を用いることが常套化しているようにみえるからだ。
出席した関電役員は「圧倒的に燃料費の負担増が(再値上げの理由として)大きい。燃料費は(企業努力で)前回の値上げ時の計画より減らしている」と弁明に終始した。ただ、昨秋に再値上げした北海道電力が、半年間程度は値上げ幅を認可された価格より圧縮した料金としていることを例にあげ、「ご負担が少なくなるように努力したい」とも表明。負担軽減のため、何らかの策を取ることを約束させられる結果となった。
出席者の怒りは、関電社内の“厚遇”にも向かう。前回の値上げ時に、役員報酬の平均を4100万円から1800万円にする目標を立てたが、2100万円にとどまっていた。今年から1800万円に落とす取り組みを始めたが「これまで4千万円ももらっていたなんて驚きだ」との声も。
関電OBの男性は「報酬ゼロにするくらいの腹をくくれないのなら、経営者をやめるべきだ。民間企業なら2期赤字が続いたら経営者は辞任だ。経営責任を取っておらず消費者をバカにしている」と激しい口調で詰め寄った。
他にも「顧問、取締役の人数を減らしてから値上げをお願いするのなら分かる」との意見も。1月の政府の値上げ審査会合でも問題視された、顧問7人に支払う計4千万円の報酬見直しを求めた。
財務が危機的状況にあると強調する関電だが、市民感覚からの素朴な疑問も寄せられた。
大阪・中之島の関電本店が入る関電ビルディング。地上41階、高さ約195メートルと周囲にそびえる同ビルに対して「危機的状況というが、あれだけのビルに入り続けていられるのには、市民感情として疑問をもたざるをえない」と追及の手が広がった。
関電では、2年前の値上げ以降、大口顧客の新電力への契約切り替えが相次ぎ、今年度の離脱件数(今年1月1日時点)は4651件と、2年連続で過去最多を更新中。「顧客離れは景気の影響だけではない。来春に家庭向けの電力小売りが自由化されたら私も関電との契約をやめる」と宣言する消費者もいた。
電力各社はここに来て、原油安の追い風などで業績が改善傾向。平成27年3月期の連結業績見込みでは4社が利益計画を上方修正している。原発停止という条件は同じなか、関電の出遅れが際立ち始めている。
原油価格などを電気料金に反映させる制度で、東京電力や中国電力は4月から電気料金が下がる見通しに対し、基本料金が上がる関電では、原油安でも契約者の負担は増える方向だ。関電の契約者は原油安の恩恵がなく、地域間の電気料金格差が拡大する可能性がある。
関電は今後も要望などを受け、消費者に直接、再値上げを説明する場を持つ予定。再値上げに向け、ひたすら“平身低頭”を続けることになりそうだ。
ただ、首尾よく再値上げできても、他地域に比べ高い電気料金に契約者が愛想を尽かす傾向は続きそうだ。消費者の声からは、関電へのそんな「警告」が読み取れる。
先送りや不徹底は改革を空回りさせ、無効にするための常套(じょうとう)手段だ。電力改革をそのような空疎な軌道に乗せてはならない。
政府、与党は電力改革の「発送電分離」を2020年とする方向で検討に入った。実施時期は従来、「18~20年をめど」としていた。その中で最も遅い時期にするというわけである。後ろ向きな態度は許されない。大胆な改革へかじを切るべきだ。
日本は電力会社が地域ごとに発電と送電を独占しているが、そんな寡占体制は先進国ではまれだ。近年、小型発電所の性能は向上し、新規参入は容易になった。だが日本では発送電が未分離のため、新規参入者も既存電力会社の送電網を使わざるを得ない。その使用料が高額で、新規組の競争力を奪っていると指摘される。
日本の電気料金は総括原価方式だ。経費に利益を上乗せした料金に、国がお墨付きを与える形だ。その経費も電力会社の言い値に近い。電力業界は巨額の政治資金を一部の政党や政治家に提供している。いわば政官業一体で既得権益を守る構造だ。この構造に風穴を開ければ料金低下も期待できる。消費者の利益にかなうはずである。
例えば1990年に国営電力会社を分割民営化した英国では、5年で電気料金が実質11%低下したとされる。改革は必然であろう。
電力業界は、電力自由化は安定供給に支障があると主張し、その例として米国カリフォルニア州の01年の大停電を挙げる。だがこのとき、電力小売価格には規制が残っていた。そのために小売業者が破綻したのが停電の原因だ。経産省の資料は、逆に「中途半端な自由化」が停電をもたらしたと総括する。それなら改革はやはり大胆に断行すべきではないか。
その発送電分離を遅らせるのも問題だが、その方式も問題だ。分離には電力グループ内で送配電網を分社化する「法的分離」、運用を別組織に委ねる「機能分離」、電力会社から完全に切り離す「所有分離」があるが、日本は「法的分離」を採用するという。だがこれでは、配電網の利用料などで電力グループによる恣意的な運用の可能性を排除できない。新規組に公正な競争環境を整備したとは到底言えない。
こんな微温的な「改革」は改革の名に値しない。既得権益の「電力ムラ」の解体なくして、未来のエネルギー政策はあり得ない。
2015/1/22(木) RBB TODAY
博報堂エネルギーマーケティング推進室は22日、2016年春に予定されている「電力小売の自由化」に関する意識調査の結果を発表した。調査時期は2014年9月で20代~60代男女1000名から回答を得た。
それによると、「電力小売り自由化」の認知率は80.8%。男性は全体認知度が84.8%、内容理解度(「内容を詳しく知っている」「内容を知っている」「聞いたことがあり、内容はなんとなく知っている」の合計)が58.6%と半数以上だったのに対し、女性は認知度が76.2%、内容理解度が41.4%と10ポイント前後男性より低かった。
「2016年4月に電力小売自由化が実現された際に、 電力会社を変更したいかどうか」を聞いてみたところ、「電気代が今といっしょでも変えてみたい:5.9%」「電気代が安くなるのであれば変えてみたい:58.1%」となり、合わせて64.0%に、会社変更の意向が見られた。
電力会社を変えてみたいという人に、「いつ変更しようと思うか」を聞いてみたところ、「自由化後すぐ」が17.2%。「最初に変えた人の様子を見て」が49.2%になった。性別による差も大きく、「自由化後すぐ」という人は男性では21.1%なのに対し、女性は12.0%と男性の半分程度となった。年齢による差もみられ、20代で「すぐに変える」という人は10.2%なのに対し、60代では20.7%と2倍以上が「すぐに変える」と回答した。
なお電力小売り自由化時に、 電力会社を選択するときに、 「どのような点について重視するか」を聞いてみたところ、もっとも「重視する」と答えた人数が多かったのは「料金の安さ」で75.5%に達した。
2015年1月16日 日本経済新聞
大手電力9社との電力の購入契約を解除した企業や自治体の需要規模が2000年以降、昨年12月までに1200万kWに達したことが分かった。
原子力発電所12基分に相当し中国電力管内のピーク需要を上回る。
東日本大震災後の電気料金引き上げで数%安く売電する新電力に移行している。再値上げする大手電力が増えれば解約がさらに広がる可能性もある。
電力小売りの自由化は00年に始まり、総需要の6割を占める契約容量50kW以上の需要家は新電力からも電気を買える。
大手電力への契約状況の聞き取りで、最大手の東京電力は累計約3万8000件、約690万kWが解約された。大口料金を平均14.9%引き上げた12年4月以降で2万2500件、270万kWを失った。
関西電力は累計約1万1400件、250万kWが解約。17.26%値上げした13年4月からでは7200件、100万kW減った。
経営が悪化している関電は15年4月に再値上げする方針で、さらに解約が増える可能性もある。
一方、震災後に値上げしていない北陸電力は65件、約5800kWの解約にとどまった。
イーレックス株式会社は、平成26年12月22日、東京証券取引所マザーズ市場に上場いたしました。
【上場市場】 東京証券取引所 マザーズ市場
【上場日】 2014年12月22日
【証券コード】 9517
【事業年度】 毎年4月1日から翌年3月31日まで
【定時株主総会】 毎事業年度末日の翌日から3ヵ月以内
【株主確定基準日】 毎事業年度末日
【剰余金の配当の基準日】毎事業年度末日、毎年9月30日
【株式の売買単位】 100株
【公告掲載方法】 公告は電子公告により行います。
ただし、やむを得ない事由により、電子公告によることができない場合
は、日本経済新聞に掲載する方法により行います。
当社もイーレックスの代理店として、電力自由化、新電力普及推進で広く社会に貢献できるよう、
日々挑戦し取り組んでまいります。
今後ともよろしくお願いいたします。
2014 年 11 月 11 日
イーレックス株式会社
イーレックス株式会社(社長:渡邉 博、本社:東京都中央区、以下「イーレックス」)は、株式会社東芝(社長:田中 久雄、本社:東京都港区、以下「東芝」)の 100%子会社であるシグマパワーホールディングス合同会社及び東燃ゼネラル石油株式会社(社長:武藤 潤、本社:東京都港区、以下「東燃ゼネラル石油」)から、イーレックスニューエナジー佐伯株式会社(以下「イーレックスニューエナジー佐伯」)への出資を受け入れることについて、東芝及び東燃ゼネラル石油との間で合意致しました。
イーレックスニューエナジー佐伯は、イーレックスが設立した発電事業会社であり、大分県佐伯市内にバイオマス発電所を建設致します。この発電所は、イーレックスグループとしては高知県高知市の土佐発電所に続く、PKS(パーム椰子殻)を用いた自社発電事業の第2号案件であり、2016 年秋に商業運転の開始を予定しております。
今回の出資により、イーレックスニューエナジー佐伯は、東芝及び東燃ゼネラル石油の有するエネルギー事業で培われた知見及び技術力を活用することで、より強固な事業基盤の確立を目指します。
イーレックスは、今後とも環境にやさしい再生可能エネルギーによる電力利用の一層の促進に努めると共に、発電所立地による地域社会の発展、活性化に貢献して行きたいと考えております。
以上
○ イーレックスニューエナジー佐伯株式会社の概要
会社名 イーレックスニューエナジー佐伯株式会社
代表者 本名 均
資本金(資本準備金含む) 1,608百万円
出資比率 イーレックス株式会社 70%
シグマパワーホールディングス合同会社 20%
東燃ゼネラル石油株式会社 10%
発電所の所在地 大分県佐伯市大分県佐伯市大字戸穴337-1
(太平洋セメント株式会社大分工場佐伯プラント構内)
関西電力管内への電力小売事業開始
関西電力管内への電力小売事業を2015年春を目途に開始いたします。
上記に伴い、関西電力管区内の受付を開始いたしました。
これにより、イーレックスの事業エリアは、東京電力管区、九州電力管区、関西電力管区、中部電力管区、東北電力管区の5電力管区となります。
事業エリア・事業規模の拡大を順次図ってまいります。今後ともイーレックスをよろしくお願いいたします。
日本経済新聞
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ26HEK_W4A820C1MM8000/
東京電力は10月から、家電量販最大手ヤマダ電機の関西と中部地方の62店舗に電力を供給する。東電が首都圏以外で電力を販売するのは初めて。関西などで地元の電力大手より数%安い料金で乗り換えを促し、10年後に首都圏以外で1700億円の売上高を目指す。電力小売り自由化が進む中、東電の域外供給第1弾が決まり、地域の垣根を越えた電力会社の競争が本格的に始まる。電気料金の引き下げが広がる端緒になりそうだ。
東電は全額出資子会社のテプコカスタマーサービス(東京・江東)を通じヤマダに電力を供給する。62店舗は関西が大阪市の主力店「LABI1なんば」を含む24店舗、中部が38店舗。これまで主に関西電力や中部電力から電気を買っていた両地域の店舗の約4割が対象になる。東電への切り替えで、ヤマダは年間数千万円程度のコスト削減につながるとみられる。
契約電力は1万9千キロワットで大規模工場10カ所分に相当する大口契約となる。電力使用量は合計5千万キロワット時と、一般家庭の1万5千世帯分に相当する。東電は各地域で民間企業の自家発電設備の余剰電力などを安価に調達し、各地の電力会社の送電線を使い利用者に供給する。ヤマダ以外にも10社近くと首都圏以外で販売契約を結ぶべく最終調整中だ。
大手電力では中部電力が新電力を買収し、既に首都圏で電力供給を手掛けているが、単一の事業所向けなど規模は限られていた。新電力は大手電力に比べ5%程度安い料金で供給している。東電も同様の水準を想定しており、一定規模の事業者向けから安い料金を利用しやすくなりそうだ。
2013年度のエネルギー白書によると、民間企業が払う電気料金の平均単価は電力各社の相次ぐ値上げで10~13年度に28%上昇した。家電量販最大手のヤマダが契約切り替えに動いたことで、様々な業種で同様の動きが広がる可能性がある。
00年以降、段階的に電力小売りの自由化は進んだ。ただ、大手電力は営業エリア外で電源を持っていなかったことに加え、地域独占の枠組みを壊すことへの抵抗感などから、相互参入はほとんど進んでいなかった。
だが、16年には家庭向けも含め全面自由化が予定される。東電は福島第1原子力発電所の事故以降、経営の立て直しが急務で、旧来のすみ分けを越えた収益拡大を進める。16年以降は一般家庭向けでも地域を越えた競争が広がり、一般家庭の電力料金引き下げにつながりそうだ。
1月に政府が認定した新しい総合特別事業計画(再建計画)で東電は首都圏以外で3年後に340億円、10年後に1700億円の売上高を目指す方針を示した。並行して他のエネルギー会社と燃料調達などで提携し発電事業のコスト削減も進める。
イーレックス株式会社の資本金および主要株主に変更がございました。
資本金:6.25億円⇒9.9億円に増資
主要株主:太平洋セメント株式会社が新たに出資
今後ともますますのご愛顧をよろしくお願い申し上げます。
http://news.livedoor.com/article/detail/9126115/
北海道電力は7月31日、電気料金の再値上げを政府に申請しました。同社は昨年9月にも値上げを実施しているのですが、そこから1年も経たないうちに再び値上げを申請する事態となりました。他の電力各社も再値上げを検討しているといわれていますが、電気料金はどこまで上がるのでしょうか。
同社では、家庭向け電気料金で約17%、企業向けなど大口部門では約22.6%の値上げを実施したいとしています。昨年、同社は家庭向けで約7.7%、企業向けで約11%の値上げを実施していますから、1年の間に家庭向けでは約25%、企業向けでは約34%も値上がりすることになります。
同社では、泊原子力発電所の運転停止で経営が悪化していることに加え、火力発電所の燃料費の負担が大きいことを値上げの理由としています。
日本は震災による原発の停止以降、基本的に節電で対処しているので、火力発電所の主な燃料であるLNG(液化天然ガス)の輸入量はそれほど増えていません。しかし、原発の停止と円安によってLNG価格が高騰していることから、火力発電所の燃料代は増加が続いています。LNG価格は震災前から比較すると約2倍となっており、これが電力会社の経営を圧迫しているわけです。
仮に順次、原発を再稼働させたとしても、日本全体の原発依存度は震災前で約3割ですから、再稼働の効果は限定的です。また、LNG価格は原油価格と連動しているものも多く、原発を再稼働させたからといって安くなる保証はありません。電力各社は、安価な米国産LNGの調達ルートの確保などを行っていますが、こうした取り組みが効果を発揮するまでには時間がかかります。近いうちに各社が再値上げに踏み切る可能性は高いと考えてよいでしょう。
日本の電気料金は諸外国に比べて、もともと割高でしたが、この状況でさらに価格が高騰しています。現在、日本では電力の自由化政策が進められており、2016年からは一般家庭でも自由に電力会社を選べるようになります。しかし大口の電力はすでに自由化されていることや、電気料金に占める燃料代の割合が高いことなどから、自由化によって劇的に電気料金が安くなる可能性は低いでしょう。
電気料金が高いと、国内での生産コストが上昇しますから、このコストは最終的には製品価格に転嫁されることになります。一方、国内では人手不足が深刻化しており、十分に製品やサービスを供給することができません。この状態が続くと、物価だけが上昇して経済が成長しないという、一種のスタグフレーションになってしまうかもしれません。
(The Capital Tribune Japan)
バイオマス発電所の新設について
2014 年 8 月 7 日
イーレックス株式会社
イーレックス株式会社(社長:渡邉 博、本社:東京都中央区)は、2013 年 6 月より稼働しているバイオマス発電所(イーレックスニューエナジー株式会社 土佐発電所)を通じて習得した知見を最大限に生かし、PKS(Palm Kernel Shell:パーム椰子殻)の安定供給体制を確保したことから、大分県佐伯市内にある太平洋セメント株式会社大分工場佐伯プラントの遊休地に、自社電源2号機となるバイオマス発電所を建設致します。
新設する発電所の能力は、出力 50,000kW で、国内のバイオマス発電所としては最大級となります。
今後も当社は、再生可能エネルギーを中心とした発電事業について積極的に推進することで、社会的貢献と地域社会の発展、活性化に寄与するよう取り組んで参ります。
なお、新規発電所の概要は記載のとおりです。
○ 新規発電所の概要
所在地 大分県佐伯市大字戸穴337-1
(太平洋セメント株式会社大分工場佐伯プラント構内)
発電方式 バイオマス発電方式
主燃料 PKS(Palm Kernel Shell:パーム椰子殻)
出力 50,000kW
投資予定額 約 170 億円
商業運転開始 2016 年秋
提案中のお客様から、
『新電力(PPS)が何らかの事情で電力を供給できなくなり、
代わりに電力会社から供給する場合、
お客様への請求は割増料金になるから注意したほうがいいですよ』
と電力会社から言われたけど大丈夫か?とお問合せがありました。
↓
基本的にありえません。
まず、大前提のお話をさせていただきますが、
電力需要家(お客様)は、必ずどこかの電力会社と契約していないといけません。
もし仮に、「どこも契約するところがない事態」になってしまった場合、
「最終保証約款」にもとづき、その地域の電力会社が
バックアップ電源として送電する決まりになっております。
その場合、通常の電力会社料金に対して割増料金を支払うことになっております。
これは聞いた話ですが、
実際、東日本大震災後、東京電力が値上げの話になった際に、
東京のパチンコ店は一斉にこの値上げを拒否しました。
値上げを認めず回答期限を過ぎてしまった際、
要はどことも電力の契約をしていない事になります。
そこで最終保証約款に基づき、東京電力が通常よりも割増料金で送電します、
というなんとも本末転倒な笑えない話もありました。
ただ、実際には、
新電力(PPS)が一時的に電力調達が不足した場合には、
電力会社がバックアップ電源として不足分を補うわけですが、
その時でも新電力(PPS)とお客様との契約がなされているわけですので、
あくまでもペナルティは電力会社と新電力(PPS)との間で発生することで
お客様の方に割増料金が発生することはございません。
また、仮に新電力(PPS)が倒産してしまった場合でも、
ある日突然倒産するわけではなく、その兆候はあるわけですから、
その間に電力会社へ契約振り戻しすることはできます。
契約振り戻しは2週間もあれば普通に出来てしまいますので、
振り戻し手続きが完了していれば、通常の電力会社の料金で電力は購入できます。
ですから、「一瞬のうちに」新電力(PPS)が消えてしまわないかぎり
(大震災が起きて津波に流されてしまった、隕石が新電力に直撃したとか)
お客様に割増料金が発生するということはありえません。
冒頭のことを、電力会社は知ってて言ったのか知らないで言ったのかわかりませんが、
知ってて言ったとすれば「妨害」、
知らないで言ったとすれば「無知、理解してない」ということになります。
まったく困ったものです。
三重県津市のゴルフ場様にボイラー燃料削減装置を取り付けさぜていただきました。
灯油使用量を年間34万円以上削減ができる予定です。
愛知県北設楽郡の茶臼山高原スキー場様にガラスコーティングをご採用いただきました。
レストハウスが全面ガラス張りになっており、夏場には日差しが強く差し込み、非常に暑くなるのが長年の悩みでした。
冷房は無いため、夏場のピーク時には大きなすだれを立てかけていたとのこと。
これではレストハウスから眺めるせっかくの景色が台無しになってしまいますよね。
私たちのガラスコーティングにまかせてください!
紫外線は98%カット、赤外線も90%以上カットします!
まだ朝もやのかかる朝7時前からスタート。
このレストハウスの1Fと2F 90m2の施工です。
まずはガラスの清掃からです。
汚れ、油膜を徹底的に落としていきます。
少しでも汚れや油膜が残っていると、コーティング時にムラができてしまいます。
この清掃に圧倒的な時間をかけます。
ガラスの汚れ油膜落としが終わったら、窓枠にマスキングをしていきます。
そしてようやくコーティング作業。
早朝から取り掛かり、本格的にコーティングを塗り始めたのは15時過ぎぐらいから。
このコーティングをするための下準備で何時間もかけます。
塗るのはほんと一瞬。塗り直しなし。一発でコーティングします。
今年の夏は、快適なレストハウスになると思いますよ!
『新電力会社グローバルエナジージャパン負債十数億円で破綻!7億円が社外に流出、電力供給事業の実績無し』
http://lifepln.info/csr/640
<新電力>初の大型破綻…負債十数億円 7億円、社外に流出
毎日新聞 6月22日(日)7時30分配信
経済産業省届け出の新電力会社で太陽光発電設備販売会社の「Global Energy Japan(グローバル エナジー ジャパン)」(旧ロハス電力、東京都港区)が東京地裁から破産手続き開始決定を受け、負債総額が少なくとも十数億円に上ることが、破産管財人などへの取材で分かった。内部資料によると、経営破綻直前にG社から計約7億円が関連会社などに流出しており、債権者らの一部は刑事告訴・告発を検討している。
新電力の大規模な経営破綻が明らかになるのは初めて。東京地裁の決定は5月14日付。
関係者によると、G社は一般住宅や法人向けの太陽光発電設備販売を手がけ、昨年7月に電力供給事業を行う新電力会社として経産省に届け出。しかし、11月、金融機関から「融資を借り入れの目的外で使用した疑いがある」などとして融資を打ち切られ、資金繰りが悪化。12月以降は受注した太陽光発電設備工事の大半がストップしていた。今年2月に福岡市中央区にあった本店を東京都港区のレンタルオフィスに移転。同月末には全従業員を解雇したという。
毎日新聞が入手した内部資料によると、昨年11月下旬以降、顧客から7億円超の工事代の前払いを受け、ほぼ同額が関連会社などに流出。うち約4億円が役員の口座に移されたり、引き出されたりして、3月には口座に計約2000万円しか残っていなかった。経産省によると電力供給事業の実績はなかった。
民間信用調査会社などによると、G社は2007年設立。13年6月期の売上高は32億2700万円。【鈴木一生、前谷宏、比嘉洋】
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先日こんなことがありました。
昨日今日とプレゼンで訪問させていただいたお客様からも
「こんなことがあったそうだけど本当に大丈夫か?」
というお声もありました。(さすが情報キャッチも早いですね!)
ハッキリ申し上げます。
こんなの新電力会社じゃないですよ。
だって電力供給の実績も無いんですよ。
一緒にしてほしくない・・・
もともとは屋根貸し太陽光の販売で売上を伸ばしてきた会社のようで、
その太陽光発電を小売していこうということで昨年7月に新電力として届出がされたようですが・・・
あくまでも太陽光発電の販売業者です。
少しネットで調べただけでも出るわ出るわ怪しい情報・・・
わずか3年のうちに何度も社名変更、社長交代、役員変更・・ありえない。
聞いた情報ですとやはり地元九州ではかなり悪名高い会社だったようです。
社長もかなり若かったようですが、
太陽光発電販売事業で「屋根貸し」という観点でわずか数年で急激に成長してきたことについてはある意味スゴい。ビジネスセンスのある方だったのでしょうけど、何だか悪知恵がたくさん働いちゃったんですかね。
とんでもない結末を迎えてしまいましたね。
現在どんどん新しく新電力会社が経産省に登録されて急激に増えておりますが、
こういういい加減な会社は本当にやめてほしい。経産省ももっと厳しくチェックしていただくたく思います。
こういう事例は新電力全体のイメージダウンにつながってしまいますから。
新電力(PPS)の受付条件として「負荷率」がポイントになることを以前ご紹介させていただきました。
この度、この負荷率の受付条件が大幅に拡大されました!
負荷率が高いお客様にも新電力のメリットが提供できる特別プランがご用意できます!
詳しくはここには書けませんが、この特別プランによって、負荷率が大体60%ぐらいまでいけそうです。
今までは受付条件にはまらないお客様の割合が圧倒的に多かったですが、これで「ほぼ大多数」のお客様に新電力のメリットが提供できることになりました^^
※なお、この特別プランを取扱いできるのは、代理店の中でもある一定の条件を満たしたごく一部の代理店のみです。
当社はその取扱可能な認定を受けております。
今まで新電力の提案は受けたが負荷率が高くて受付NGだったお客様、数社にチャレンジしてことごとく断られたお客様もお気軽にお問い合わせください。
「とは言っても何か裏があるんじゃないか」
「何か省エネ機器とセットで売りつけられるんじゃないか」
いえいえ。もちろん完全無料でのご提案ですのでご安心下さい。
ただ、現状機密性の高い情報ですので、お電話やメールでは対応しておりません。
基本的にまずは対面で詳細をご説明させていただいた上でのご提案になりますのでご了承下さい。
スマートメーター(次世代電力計)を巡り、東京電力と新電力(特定規模電気事業者)の対立が再び先鋭化している。東電が新電力に対する電力使用量データの提供を、「1日4回(6時間に1回)」にとどめると主張していることが、本誌の取材で明らかになった。
スマートメーターはこれまでの機械式に代わる新しい電力計。通信機能を持ち、30分ごとに一般家庭の電力使用量を検針する仕様になっている。東電などがインフラを整備し、2016年に予定される電力小売りの完全自由化後は、新電力が顧客情報を得るための要の機器になる。
では、メーターで30分おきに検針するデータをなぜ6時間に1回しか提供できないのか。東電の言い分はこうだ。
東電の販売地域には一般家庭向けの電力計が2700万台あり、合わせると膨大なデータ量となる。これを30分おきに提供するには通信網などへの追加投資が必要なため、今は6時間おきが限界だというのだ。
だが、資源エネルギー庁電力・ガス事業部で電力市場整備を担当する日高圭悟・課長補佐は「スマートフォンで大量の情報が送受信される時代に30分ごとのデータ送信ができないとは考えにくい」と指摘する。
新電力のエネットは「30分ごとの使用量データがなければ、発電量と使用量を合致させる『同時同量』の実現が難しくなる」(遠藤久仁・営業本部長)と反発している。
同時同量とは、30分の間に消費者が使う電力量と供給量をプラスマイナス3%の範囲内で合わせること。需要が推定を大きく超えて変動すれば停電のリスクが高まるため、東電などの送電網を借りる新電力に達成が義務付けられている。データが6時間おきにしか得られなくなれば、これは事実上不可能になる。
それだけではない。スマートメーターのデータを30分ごとに得られれば、日中の使用量が少ないなど、顧客の需要実態に合わせた料金プランの設定に生かせる。一人暮らしの老人宅で、電力使用量の減少から異変を早期発見するビジネスなどにも応用できる。だが、6時間おきになると、新電力が想定する多彩な活用法が限定されてしまう。
新電力が電力使用量データを取得する方法はほかにもある。一般家庭にHEMS(家庭用エネルギー管理システム)を設置して、直接情報を取るのだ。しかし、HEMSは実証実験段階で、機器や回線費用などの設置に莫大なコストがかかり、現実的ではない。
スマートメーターの標準規格が決まった2012年にも、東電は新電力が参入しにくい独自の仕様を主張し消費者や新電力から批判された。
今回、東電が地域独占の維持へ向けた執念から、再び新電力潰しに動いたとの見方がある。今後の議論の行方次第では、電力小売りの完全自由化による健全な競争は、掛け声だけに終わりかねない。
>>新電力(PPS)のページヘ
新電力(PPS)が供給できるか否かの指針として「負荷率」というものがあります。
簡単に言いますと、
「設備規模(契約kW)に対して年間どれぐらいの電力量(kWh)を使ったかを表す電気使用の稼働率」
となります。
これを計算式にするとこのようになります。
<年間電力使用量(kWh)> ÷ <契約電力(kW)× 8760(24時間×365日)>
この計算で出た数値が
産業用「高圧電力」 上限10%〜15%ぐらいまで
業務用「高圧業務用電力」 上限20%〜25%ぐらいまで
であれば、新電力(PPS)の受付条件に当てはまります。
これはどの新電力会社でも大体こんな基準になります。
ですから基本的に
・平日の昼間に電力消費が集中している
・夏季休暇、冬季休暇、GW休暇、お盆休みは稼働しない
・工場でも瞬間的に使う機械が多い、その機械は常に動いていることはない
というようなお客様だと受付条件に当てはまりやすいです。
電気を使う時と使わない時がハッキリしているお客様ですね。
このようなお客様というと、
官公庁・自治体施設、学校、事務所ビル、スキー場、野球場、砕石場、リサイクル工場
などになります。
受付条件にはまるための負荷率の水準は非常に厳しい(低い)です。
現実的に、新電力(PPS)供給できるお客様よりできないお客様の割合の方が圧倒的に多いんです。
要は、これぐらいの基準でないと、新電力会社としては採算が合わない=電力会社よりも安い電力が供給できない、ということです。
要因としては、新電力(PPS)が電力会社に送電網を借りるための費用(託送料金)が高すぎるのも一つと言われています。
新電力の普及率がなかなか進んでいかない要因でもあります。
将来的に、
・発送電分離がされ、高い託送料金が無くなるor少なくなる
・新電力のシェアが増えていくにつれ、電力の調達コストも安くなる
・2016年から一般家庭にも自由化が開放され、さらに何らかの規制緩和がされる
などなどで新電力が受付できる負荷率の条件も緩和される可能性は十分に考えられますが。
せっかく診断依頼をいただいたのに、
「申し訳ございません。受付条件に合わず供給することができません」
とお断りさせていただくケースは以上のような負荷率の問題であるというのが理由でございます。
でも診断依頼はお気軽にお試し下さいね。
細かいことは考えずに^^
データを投げていただければ、あとはこちらで可否のご連絡をさせていただきます。
※2014年5月7日追記
名古屋・栄の繁華街といえば「錦三丁目」。
この商店街の一角47基分の街路灯に、当社提案のLEDが採用されました!
無事、取付工事終了。
錦三の華やかさにも負けず劣らずいい感じで光ってますっ
飛び込み営業〜試験設置〜商店街総会出席〜名古屋市助成金申請・・・
振り返れば1年半かけて大変なこともありましたが、
こうしてズラーッと並んで灯る光を眺めていると、すべて忘れさせてくれるような感慨深さがあります^^
ジィーーーン・・・
ありがとうございました!