2018年10月17日 電気新聞
◆ルール変更の影響も
F―Power(Fパワー、東京都港区、埼玉浩史会長兼社長)が公表した第10期決算公告(2017年7月1日~18年6月30日)によると、純損益が120億円の赤字になった。前期は7億円の黒字だった。Fパワーは今年4月の販売電力量でエネットを抜き、初めて新電力首位に立つなど契約件数を順調に伸ばしていただけに、今後の経営動向が注目を集めている。
15日付で官報に掲載された同社の決算によると、昨年7月から1年間の売上高は前期比27.4%増の1599億円と増収だったが、経常損益は前期22億円の黒字から、今期は118億円の赤字に転落した。営業損益は119億円の赤字、純損益は120億円の赤字だった。
同社は電源構成を含めた経営戦略を公表していないが、大手電力会社と相対契約を結んで卸供給を受けているほか、子会社として新中袖発電所(千葉県袖ケ浦市、LNG、約10万キロワット)などを運営している。
ただ、近年の契約電力の増加に電源開発が追い付いておらず、規模の大きな新電力としては比較的、卸電力取引所への依存度が高いプレーヤーとして知られていた。
昨夏および昨冬は、需給逼迫などを原因として取引所の単価が高騰する局面があり、収支に悪影響を及ぼした可能性がある。
足元の契約数は順調に伸びていたとみられる。経済産業省・資源エネルギー庁が発表した今年6月の電力需要実績によると、新電力として3ヶ月連続で販売電力量の首位を維持している。特別高圧に続き、6月は高圧でも初めて首位に立った。
一方で同社の営業手法について、業界他社からは「価格が安すぎる」など持続性を疑問視する声が上がっていた。
ある新電力関係者は取引所の単価高騰のあおりを受け、低価格で獲得した契約で「逆ざや」が発生しているのではという見立てを示す。
業界内ではエネ庁が昨年10月に行ったインバランス料金算定方法の見直しが、同社の業績に与えた影響を指摘する声もある。
主要因がどこにあるにせよ、新電力トップの経営状況の「変調」は、電力小売り全面自由化の今後を占う要素として波紋を広げそうだ。
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卸電力取引所(JEPX)からの調達頼み又は調達比率が高いなど、
JEPXへの過度な依存は、事業の安定性を大きく毀損することになります。
今年の夏季の価格上昇もありこのような事態となっております。
最安値営業、シェア拡大しても、中身がこんな大赤字ではなんにも意味がない。
当社が販売しているイーレックスはJEPX調達だけではなく自社電源や相対契約等、多種多様な調達方法を保有しております。
今後も数件の自社発電所の建設・計画も進んでおり、着実な営業をしております。