【新電力(PPS)】イーレックス Research Memo(6):国内の低圧分野市場参入向けた実行可能性調査を開始


イーレックス Research Memo(6):国内の低圧分野市場参入向けた実行可能性調査を開始

■業績動向

 

(1)直近決算及び2016年3月期通期業績見通し

 

a)直近決算

イーレックス<9517>の2015年3月期は売上高が170億円(前期比11.5%増)、営業利益が14億円(同4.9%増)、経常利益が11億円(同18.6%減)、当期純利益が9億円(同13.2%増)で着地し、売上高・利益ともに前期比で順調に拡大した。

 

売上高は代理店数増に伴う顧客増及び卸売りから小売りへのシフトによる価格上昇効果などで順調に拡大した。電力の仕入数量増加によって売上総利益が前期比で減益となったものの、販管費を抑制して営業増益を達成した。経常利益は連結子会社によるアレンジメントフィーの支払があり減益となった。

 

2016年3月期第1四半期決算は、売上高が48億円、営業利益が1億円、経常利益が1億円、当期純利益が1億円となった。今第1四半期は前期に引き続き取引所卸電力価格が下落しその影響があった一方、小売へのシフトによる平均販価引き上げ効果もあり、ほぼ計画どおりの着地となった。

 

事業面での進展としては、2015年4月から関西地区での電力小売を開始したほか、今第1四半期中には前述した米国Spark Energy社との間で、国内の低圧分野市場参入に向けたフィジビリティ・スタディ(実行可能性調査)を開始した。これは9月1日の合弁企業設立へと結実し、来年4月からの電力小売完全自由化に際しての本格事業開始が待たれるところとなっている。

 

b) 2016年3月期通期見通し

2016年3月期通期の業績について同社は、売上高が240億円(前期比41.1%増)、営業利益が15億円(同2.4%増)、経常利益が14億円(同24.1%増)、当期純利益が9億円(同1.5%増)を予想している。これらは期初予想から変更はない。

 

売上高は足元も代理店数が増加していることに加え、10月から中国地区で電力小売がスタートするため、顧客数増加による増収が期待されている。利益面で営業利益の伸び率が2.4%に留まる見込みであるのはイーレックスニューエナジーの土佐発電所において、定期修理が計画されているためである。それを除けば、事業環境において基本的には変化はなく、顧客数拡大による卸売りから小売へのシフトを一段と強めて、収益性改善へと注力する方針である。

 

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)