電気料金の値上げ、このまま続くとどうなる?

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北海道電力は7月31日、電気料金の再値上げを政府に申請しました。同社は昨年9月にも値上げを実施しているのですが、そこから1年も経たないうちに再び値上げを申請する事態となりました。他の電力各社も再値上げを検討しているといわれていますが、電気料金はどこまで上がるのでしょうか。

 

 同社では、家庭向け電気料金で約17%、企業向けなど大口部門では約22.6%の値上げを実施したいとしています。昨年、同社は家庭向けで約7.7%、企業向けで約11%の値上げを実施していますから、1年の間に家庭向けでは約25%、企業向けでは約34%も値上がりすることになります。

 

 同社では、泊原子力発電所の運転停止で経営が悪化していることに加え、火力発電所の燃料費の負担が大きいことを値上げの理由としています。

 

 日本は震災による原発の停止以降、基本的に節電で対処しているので、火力発電所の主な燃料であるLNG(液化天然ガス)の輸入量はそれほど増えていません。しかし、原発の停止と円安によってLNG価格が高騰していることから、火力発電所の燃料代は増加が続いています。LNG価格は震災前から比較すると約2倍となっており、これが電力会社の経営を圧迫しているわけです。

 

 仮に順次、原発を再稼働させたとしても、日本全体の原発依存度は震災前で約3割ですから、再稼働の効果は限定的です。また、LNG価格は原油価格と連動しているものも多く、原発を再稼働させたからといって安くなる保証はありません。電力各社は、安価な米国産LNGの調達ルートの確保などを行っていますが、こうした取り組みが効果を発揮するまでには時間がかかります。近いうちに各社が再値上げに踏み切る可能性は高いと考えてよいでしょう。

 

 日本の電気料金は諸外国に比べて、もともと割高でしたが、この状況でさらに価格が高騰しています。現在、日本では電力の自由化政策が進められており、2016年からは一般家庭でも自由に電力会社を選べるようになります。しかし大口の電力はすでに自由化されていることや、電気料金に占める燃料代の割合が高いことなどから、自由化によって劇的に電気料金が安くなる可能性は低いでしょう。

 

 電気料金が高いと、国内での生産コストが上昇しますから、このコストは最終的には製品価格に転嫁されることになります。一方、国内では人手不足が深刻化しており、十分に製品やサービスを供給することができません。この状態が続くと、物価だけが上昇して経済が成長しないという、一種のスタグフレーションになってしまうかもしれません。

 

(The Capital Tribune Japan)